リスティング広告の費用対効果がよいのは当然
オンライン広告のなかでも比較的費用対効果がよいと言われるのが、Google 広告やYahoo!広告に代表されるリスティング広告(検索広告)です。
なぜ「費用対効果がよくなりやすいのか」をリスティング広告の仕組みを踏まえて解説します。その上で、リスティング広告の費用対効果を改善するためにはどのようなことが必要なのか考えていきます。
なぜ費用対効果がよいのか?
リスティング広告の費用対効果がよいとされここまで普及している理由をいくつか考えてみます。
リスティング広告はゴールに近いから
リスティング広告(検索広告)は「検索エンジンで解決策を探している人」に対しての広告です。この人たちは問題を解決できるものを探しており、見つけたらすぐに購入、問い合わせ、登録といった行動をする可能性が高いのです。
ニーズが顕在化している「すぐ買う客」をターゲットとすることから、売上や目標といったゴールに近いと言えます。
反対にゴールから遠い広告としては、認知を目的としたディスプレイ広告やネット以外のテレビCMや交通広告があります。
リスティング広告は計測しやすいから
費用対効果の良し悪しを判断するには、費用と効果が測定できる必要があります。
結果に直結しやすいリスティング広告は、広告によって獲得できた売上や反響といった結果を計測しやすい特徴があります。
リスティング広告の予算は自由だから
リスティング広告は1万円の予算でも1,000万円の予算でも実施が可能です。金額が決まっている広告ではなく自由に予算を設定することができるのも費用対効果を合わせやすい理由です。
またネット広告における広告費と成果の関係は「限界効用逓減の法則」に近い動きをします。これは「予算が増えればそれにともない1獲得のためのコストは上昇する」ということです。
・獲得コストが適正なら予算を増加
・獲得コストが悪いなら予算を縮小
といった調整を行うことができるリスティング広告は、自社にとってもっとも費用対効果がよい点を設定することができます。
関連記事:【結論】リスティング広告の費用はいくらで始めるべきなのか?
費用対効果をよくするために
リスティング広告の費用対効果はよいからといって誰でも絶対によいということではありません。
費用対効果が悪い/合わないといった場合にはどのような対応が考えられるのでしょうか。
ターゲットを絞る
合計の数値だけをみていると気づきにくいのですが、広告キャンペーンのなかには効率のよい部分と悪い部分が存在するはずです。
広告費を30万円使ったある架空のキャンペーンです。
予算 | 獲得件数 | CPA | |
ターゲットA | 100,000円 | 15件 | 6,666円 |
ターゲットB | 100,000円 | 10件 | 10,000円 |
ターゲットC | 100,000円 | 8件 | 12,500円 |
合計 | 300,000円 | 33件 | 9,090円 |
30万円の広告費で33件獲得、CPAが9,090円です。これをターゲット別に分けてみると、CPAはターゲットAの6,666円〜ターゲットCの12,500円と大きな差があることに気づきます。
9,090円のCPAを高いと判断するのであれば、成果が悪いターゲットCの配信を停止するという選択肢があります。
ターゲットCへの広告配信を停止すると下記のようになります。
予算 | 獲得件数 | CPA | |
ターゲットA | 100,000円 | 15件 | 6,666円 |
ターゲットB | 100,000円 | 10件 | 10,000円 |
合計 | 200,000円 | 25件 | 8,000円 |
獲得件数は減ることになりますが、CPAは8,000円まで低下し費用対効果は改善します。
またはターゲットCに使っていた予算をターゲットAに移動するという選択肢も考えられます。
予算 | 獲得件数 | CPA | |
ターゲットA | 200,000円 | 30件 | 6,666円 |
ターゲットB | 100,000円 | 10件 | 10,000円 |
合計 | 300,000円 | 40件 | 7,500円 |
獲得件数は増加しCPAは低下します。
このように単純にいくとは限りませんが、キーワードにしろターゲットにしろ成果のよいところに集中することで費用対効果を改善できる可能性があります。これはキャンペーンや広告グループ、キーワードだけでなく性別、年齢、地域などでも同様に言えることです。
関連記事:失敗しないリスティング広告のキーワード選びを徹底解説
ポジションを明確にする
これを言ったら元も子もないように感じますが、リスティング広告で一番大事なものはサービス/商品そのものです。サービスが弱いならリスティングやってもうまくいきません。
ただこれの意味するところは「すべての面で競合他社に勝っている」ということではありません。「こういう人なら選んでくれる」というターゲットが明確であるということです。それは価格かもしれないし、デザイン、技術、安心、保証、付加サービス、、、なにになるかはすべての企業で違うものになります。
他社との違いがわからない商品が売れないのはネットでもリアルでも同じです。
ランディングページを変えてみる
「管理画面のなかでできる運用はしっかりやっているはずなのに成果がいまいち」という場合には、ランディングページを変更してみるべきです。広告文を作成してクリック率を改善したり入札単価を調整しクリック単価を抑えることも無駄ではないのですが、全体への影響はランディングページに比べたら小さいものでしょう。
ランディングページの作成がコスト的に難しい場合は、ランディングページのファーストビュー(=ページ最上部の最初に目に入る1画面部分)だけ変えたパターンでも十分です。
効果的なランディングページについては下記のページで詳しく説明しています。
リスティング広告の外に目を向けるべき
コンバージョン数やコンバージョン単価といった数値の改善は管理画面のなかで行います。
そうではなく本当の意味でのリスティング広告の費用対効果を改善するためには、管理画面の外に目を向けるべきケースも少なくありません。
下の表はあるBtoB企業がリスティング広告で問い合わせを獲得しようとした仮の数値です。
- CPA(問い合わせ獲得単価)が10,000円
- 問い合わせからの商談化率は50%
- 商談からの受注率は20%
予算 | CPA | CV | 商談数 | 受注数 | |
基準値 | 1,000,000円 | 10,000円 | 100 | 50 | 10 |
CPAが10%低下 | 1,000,000円 | 9,000円 | 111 | 56 | 11.2 |
受注率が20%から30%に改善 | 1,000,000円 | 10,000円 | 100 | 50 | 15 |
リスティング広告の運用としてはCPAが10,000円から9,000円に下がることは大きな成果で簡単なことではありません。CPAが下がったことで商談数も受注数も増加します。
しかしリスティング広告の改善は管理画面のなかだけではありません。このケースではCPAの10%改善よりも受注率の改善が大きな影響があることがわかります。
もちろんCPA、商談化率、受注率などの改善余地や難易度は案件によってまちまちですが、基本的にはコンバージョン率より商談化率、商談化率より受注率と後工程になればなるほど改善インパクトが大きくなります。
関連記事:【詳細解説】検索広告のコンバージョン単価が高い原因と改善方法
まとめ
リスティング広告が費用対効果のよくなりやすいことに加えて、さらに改善しようと思ったときに抑えてほしいポイントを解説しました。
「競合他社は出稿し続けているのに自社はどれだけ運用を改善しても費用対効果が合わない」ということがあるかもしれません。そのような場合には、
・運用で大きな失敗をしている
・製品/サービス(とLP)が弱い
・ビジネスとして成り立っていない(成約率が低い、利益率が低い、など)
のどれかが原因である可能性が高そうです。
運用の不安に関しては同僚や他代理店のセカンドオピニオンが役に立つでしょう。それでも期待した効果を得られないのであれば、より広い視点でリスティング広告の前後を含めたビジネス全体を俯瞰してみてください。
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