リスティング広告の手数料は定額制で安くできるのか

リスティング広告

リスティング広告を外注する際、手数料がかかることは多くの事業者が理解していますが、その費用を効果的に抑える方法については疑問を持つ方も多いでしょう。

本記事では、コスト削減の一つの選択肢として注目されている定額制プランについて詳しく解説します。

リスティング広告を外注するとかかる手数料

リスティング広告の運用を外部に依頼する際、費用は主に2つの要素で構成されます。GoogleやYahooに支払う広告費と、代理店に支払う運用代行手数料です。

広告費については、広告主が直接プラットフォームに支払うケースと、代理店が立て替えて支払うケースがあります。一方、運用代行手数料は代理店の取り分となり、広告主に代わって様々な業務を行うことへの対価です。
運用代行の業務範囲は代理店や契約内容によって異なりますが、一般的に以下のような作業が含まれます。

基本的な運用業務
・キーワードや広告文の調整
・入札管理
・予算配分の最適化
・定期的なレポート提出(メールでの送付など)

より高度な業務(契約内容による):
・広告クリエイティブの作成や改善
・ランディングページの最適化
・問い合わせデータの分析と活用
・広告とCRMツール(HubSpot、Salesforce、kintoneなど)との連携

ただし、注意が必要なのは、中には十分な運用を行わずに高額な手数料を請求する代理店も存在することです。特に、広告運用がメイン業務ではない制作会社やMAツール、CRMツールのベンダーに運用を任せる場合、このようなケースが見られることがあります。

例えば、実質的な運用をほとんど行わず、単に広告を配信するだけで20%の手数料を継続的に請求するようなケースも散見されます。このような状況を避けるためには、契約前に運用内容や報告の頻度、期待される成果などを明確に確認し、定期的に運用状況をチェックすることが重要です。

多くの場合は広告費も手数料も一定

リスティング広告を外部に委託する際、多くの企業は月間の広告予算に上限を設定します。これにより、支出を予測可能な範囲に抑えることができます。一般的な運用方法では、広告費と手数料がほぼ一定となるため、予算管理がしやすくなります。

例えば、月間の広告予算が30万円で、代理店の手数料が広告費の20%の場合を考えてみましょう。この場合、手数料は6万円となり、合計で36万円の固定支出となります。多くの代理店では、広告費に対して10%から20%程度の手数料を設定しているため、このような計算方法が一般的です。

一方で、アフィリエイト広告のように成果報酬型の案件では、目標コンバージョン単価を下回る限り広告費を増額していくケースもあります。このような場合、コミッション制(従量制)の手数料体系を採用していると、広告費の増加に比例して手数料も上昇します。

手数料の体系と相場

リスティング広告の運用代行手数料には、主に4つの体系があります。それぞれの特徴と相場を詳しく見ていきましょう。

コミッション(広告費連動型)

広告費に対する一定の割合で手数料を算出する方法です。一般的な相場は広告費の20%程度ですが、コスト競争力を重視する代理店やフリーランサーの中には10〜15%で提供するケースもあります。広告費が一定であれば毎月の支出も安定するため、予算管理がしやすいのが特徴です。

テーブル制(段階的料金制)

コミッション制の欠点を補う形で考案された料金体系です。広告費の増加に比例して手数料が上がるコミッション制では、高額な広告費になると割高感が生じやすくなります。例えば、広告費100万円に対する20万円の手数料は納得できても、300万円に対する60万円となると「作業量はそれほど変わらないのに、なぜ40万円も増えるのか」という疑問が生じかねません。
そこで考案されたのがテーブル制です。広告費の規模に応じて手数料率を段階的に下げていく仕組みで、例えば以下のような料金設定になります

広告費300万円まで:20%
300万円超500万円まで:15%
500万円超1,000万円まで:10%

この方式により、広告費の増加に伴う手数料の急激な上昇を抑えつつ、適切な報酬を確保することができます。

フィー制(作業量基準)

人員と稼働時間をベースに手数料を算出する方法です。作業内容とそれにかかる時間が基準となるため、依頼する業務の範囲によって費用を調整できます。

多くの業務を依頼すれば費用は増加し、逆に業務を絞れば費用を抑えることも可能です。広告費の変動に関わらず、業務内容が一定であれば手数料も安定します。

固定制(定額制)

事前に決められた業務内容に対して、月額○○円という形で料金を設定するサービスです。コミッション制やフィー制とは異なり、広告費や個別の作業量に関わらず一定額を支払う形式です。

一部では月額1〜2万円程度で広告運用を行うサービスも見られますが、この価格帯では十分な工数を確保することが難しく、適切な運用を期待するのは現実的ではありません。そのため、固定制を選択する際は、提供される業務内容と価格のバランスを慎重に検討することが重要です。

手数料定額(フィー制)のメリットとデメリット

リスティング広告の運用において、手数料や支出が大きく変動することは多くの企業にとって望ましくありません。そこで注目されているのが、手数料が一定のフィー制や固定制のプランです。これらのプランにはメリットとデメリットがありますので、詳しく見ていきましょう。

手数料定額(フィー制)のメリット

✓費用を抑えられる

従来の広告費に対する一律20%のコミッション方式と比較すると、フィー制は大幅なコスト削減につながる可能性があります。例えば、500万円の広告費に対して20%のコミッションだと100万円の手数料になりますが、フィー制では同じ業務内容でも30万円程度で済むケースもあります。

広告費が高額になればなるほど、従来の手数料方式では負担が大きくなります。そのため、広告費が一定規模を超える場合は、手数料の交渉やフィー制を採用している外注先の検討が有効な選択肢となります。

✓広告費が増えても手数料が増えない

従来の手数料方式では、広告費の増加に比例して手数料も上昇します。例えば、広告費が100万円から300万円に増加すると、20%方式の場合、手数料は20万円から60万円へと3倍になります。

一方、フィー制では広告費が増えても手数料は一定のため、コスト効率が維持できます。

✓手数料に納得感がある

広告費の20%という手数料は業界の慣習に過ぎず、明確な根拠がありません。これに対し、フィー制は人の稼働時間をベースに算出するため、より透明性が高く納得感があります。例えば、「時給5,000円の担当者が月30時間かけるので15万円です」といった説明は、クライアントにとって理解しやすいものです。

手数料定額(フィー制)のデメリット

✓想定外の追加費用発生リスク

フィー制は事前に定められた作業範囲をベースにしているため、想定外の作業が発生した場合は追加費用が発生する可能性があります。このリスクを回避するには、発注側が必要な業務を正確に把握し、広告代理店とのコミュニケーションを密に取ることが重要です。

一方、従来の20%コミッション方式では、小さな追加依頼や細かい業務変更に対して柔軟に対応してくれることが多いという利点があります。

✓費用算出がめんどう

フィー制では、詳細な業務範囲の確定と工数の算出が必要なため、見積もりの作成に時間がかかることがあります。また、契約までのプロセスが長くなる可能性もあります。
対照的に、コミッション方式では細かい業務内容を事前に詰める必要がないため、比較的スピーディーに契約できるメリットがあります。

安くしたいなら定額・月額固定・定率をどう選ぶか

これまでリスティング広告の手数料タイプやそれぞれのメリット・デメリットについて説明してきましたが、実際に手数料を抑えるためにはどのタイプを選択すべきでしょうか。ここでは、広告費の規模別に最適な選択肢を検討していきます。

少額広告費の選択肢は定額かフィー制

多くの広告代理店では、月額広告費10万円以下の案件は採算が合わないため、請け負わないことがあります。例えば、10万円の20%は2万円となり、この金額ではサービス提供が困難だからです。
この場合の選択肢としては、以下が考えられます:

月額固定の格安代行会社を利用する:定額制のサービスを提供する代行会社を探すことで、予算内で運用が可能になります。
フリーランスに依頼する:月3万円程度で依頼できるフリーランスを見つけることで、コストを抑えつつ専門知識を活用できます。
フィー制を採用し、工数を抑える:必要最小限の作業に絞ることで、コストを抑えられる可能性があります。

ただし、月額広告費が30万円程度になれば、担当者との相性次第でフィー制も選択肢に入ってきます。この場合、より幅広いサービスを受けられる可能性があります。

50万円〜100万円くらいなら定率(コミッション)もよさそう

この規模になると、定率(コミッション)制も魅力的な選択肢となります。例えば、広告費が月100万円で手数料率が20%の場合、手数料は20万円になります。業務範囲にもよりますが、10〜20万円の手数料で包括的なサービスを受けられるのは、決して高額とは言えません。

広告費が大きくなるなら定額(フィー制)

広告費が月300万円にもなると、20%のコミッション制では60万円と高額になります。この場合、以下の選択肢を検討することをおすすめします:

コミッション率の引き下げ交渉:広告費が大きいため、より有利な条件で交渉できる可能性があります。
フィー制への移行:実際の作業量に基づいた料金体系に変更することで、コストを抑えられる可能性があります。
インハウス化の検討:広告運用の専門家を社内に採用することで、長期的にはコスト削減につながる可能性があります。

結論として、広告費の規模や事業の状況に応じて最適な手数料タイプを選択することが重要です。また、単純にコストだけでなく、提供されるサービスの質や、自社のマーケティング目標達成への貢献度も考慮に入れることをおすすめします。

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この記事を書いた人

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著者名: にしりゅう

Webマーケティングのエキスパート。広告を中心にしたWebマーケティング支援に10年以上従事し、月額予算100万円以下のプロジェクトで50件以上の成功事例を誇る。特に小〜中規模クライアントへの施策横断的な支援に定評がある。最近は趣味の格闘技とトレーニングにのめり込んでいる。

Posted by kaizuka