低予算で始めるBtoB(製造業/メーカー)リスティング広告

リスティング広告

製造業やメーカーなどのBtoB企業においても、オンラインでの営業活動は今や一般的になっています。

BtoB製造業における見込み顧客の獲得や商談創出には、展示会が依然として中心的な役割を果たしています。しかし、コロナ禍を契機に、オンラインやデジタル化への取り組みを強化する企業が増加しており、「ネット広告を導入したい」という相談も頻繁に寄せられるようになっています。

この記事では、ネット広告の中でも手軽に導入できるリスティング広告(Google広告、Yahoo!広告)に焦点を当て、中小規模の製造業やメーカー、専門商社が低予算での導入を検討する際のポイントを詳しく解説します。

製造業リスティング広告の特徴と注意点

製造業のリスティング広告は他の業界と異なる独自の特徴があります。成功のためには、これらの特徴を深く理解し、適切な広告戦略を策定することが不可欠です。

ここでは、製造業のリスティング広告の主な特徴とそれに伴う注意点を明らかにします。

ニッチな市場へのアプローチ

製造業は特定のニッチな市場をターゲットにすることが一般的です。このような市場ではターゲットがいそうなキーワードを広めに設定しターゲットユーザーにしっかりアプローチする必要があります。

また、限定されたターゲットを持つからこそ、具体的なキーワードや広告文でのメリットの訴求が欠かせません。一般的なスペック表記よりも、ユーザーにとっての具体的な利益やメリットを前面に出すことを心がけましょう。

長期的な受注サイクル

製造業の特色として、受注サイクルが長いことが挙げられます。そのため、一度の広告投下で短期的な結果を期待するよりも、長期的な関係性の構築に焦点を当てるべきです

。広告の効果を評価する際は、短期的な成果だけではなく、中長期的なROIも検討の上で判断をすることが重要です。リマーケティングや情報提供型のコンテンツ広告も上手く取り入れてみると良いでしょう。

工場の稼働率を考慮する

製造業における工場の稼働率は、ビジネス運営上、極めて重要な要素です。広告の運用を行う際には、工場の現在の稼働状態や生産能力を鑑みて、適切な出稿タイミングや量を調整する必要があります。

生産スケジュールを定期的にチェックし、広告出稿の計画を適時見直すことで、在庫過多や納期遅延といったリスクを防ぐことができます。

うまくいくBtoBリスティング広告の条件

リスティング広告に必要な3つのポイント

リスティング広告がどのような結果になるかは、実際に配信してみなければわかりません。しかしその一方で「高い確率でうまくいかないケース」は存在します。

BtoBのリスティング広告を成功させるための条件と、反対に失敗しやすいケースを説明します。

条件1:ユーザーのニーズが明確であること

リスティング広告は、ユーザーの検索行動(検索キーワード)に応じて表示される広告です。ユーザーが検索を行わなければ、広告は表示されません。

ユーザーは「問題の解決」や「悩みの解消」を目的として検索を行います。問題や悩みが明確でなければ、検索行動は起こりません。そのため、ニーズが存在しない製品やサービス(誰も困っている人がいない問題を解決する製品)は、リスティング広告には向いていない可能性が高いです。

条件2:製品やサービスの差別化が明確であること

オンライン上では、製品やサービスの比較が容易に行えます。競合が少なければ問題ありませんが、多くの競合が存在する場合、差別化が必要です。

他社製品との違いが不明瞭な場合、リスティング広告を開始する前に自社の製品やサービスの強みやポジショニングを明確にすることが求められます。

条件3:市場相場に合わせた広告費を設定すること

広告費の設定は、「総予算の多さ」ではなく、「1件の獲得にかかる広告費が市場相場に合っているか?」を重視すべきです。

例えば、競合他社が1件の反響に3万円かけているのに、自社だけが5,000円での獲得を目指すのは現実的ではありません。市場相場を理解し、適切な広告費を設定することが重要です。

無理な目標を設定せず、相場程度の単価で獲得できるかをテストし、徐々に改善していくのが賢明です。

関連記事:【結論】リスティング広告の費用はいくらで始めるべきなのか?

マーケットサイズを予想する

前述の「条件1」にも触れたように、明確なニーズの存在(すなわち、検索回数があること)は、リスティング広告の成功の基盤となります。

製造業やメーカーの場合、ターゲットとなるマーケットがニッチであることも珍しくありません。そのため、まずは対象キーワードの検索回数が十分に存在するかを確認することが重要です。主要なキーワードに関する検索が皆無、または月に10回程度しかない場合、リスティング広告の導入を再考する必要があるかもしれません。

検索回数を調査する方法として、既にGoogle広告を利用している場合は「Google広告キーワードプランナー」が最適です。このツールは非常に正確な検索回数を提供しますが、実際にGoogle広告で出稿しているユーザー向けのものであり、そうでない場合は大まかな数値しか提供されない点に注意が必要です。

Google広告キーワードプランナー

参考:キーワード プランナーで最適なキーワード選択 – Google 広告

Google公式のツール以外にも「Ubersuggest」や「aramakijake.jp」のような検索回数を把握するためのサービスはいくつも存在します。「Google広告キーワードプランナー」はある程度信頼できる数値ですがそれ以外のサービスは独自の方法で検索回数を推定しているのでそのまま真に受けるのではなく参考程度に活用してください。

適正予算と期待値

自社でリスティング広告を実施した企業から、「試しに5万円で配信してみたが、コンバージョン(問い合わせや資料請求など)がひとつもない」のような相談を受けることがあります。

このような状況には、広告の設定や運用の問題がある場合と、業界のコンバージョン単価の相場に起因する場合が考えられます。リスティング広告は、キーワードに対する入札制度であり、競合が多いキーワードはクリック単価が高くなりがちです。このクリック単価の高さは、コンバージョン獲得のコストも上昇させます。

関連記事:【詳細解説】検索広告のコンバージョン単価が高い原因と改善方法

例として、転職や金融関連(クレジットカード、ローンなど)のキーワードは、高いクリック単価で知られています。BtoBや製造業の業界においても、1つのコンバージョン(問い合わせや資料請求など)に数万円のコストがかかることは珍しくありません。

このような業界の特性を理解し、10万円の広告費をかけてもコンバージョンが得られない可能性があることを認識することが必要です。コンバージョンのコストは、競合他社の行動や市場の動向などの外部要因によって変動します。そのため、単にコンバージョン単価を「高い」「安い」と評価するのではなく、受注からの売上や利益を基に、適切な予算を逆算して設定することが重要です。

関連記事:【結論】リスティング広告の費用はいくらで始めるべきなのか?

BtoBリスティング広告の運用事例

こちらは、海外製の機械を取り扱う機械専門商社の事例です。これまで商談の獲得は主に展示会が中心でしたが、コロナ禍による展示会の縮小を受け、デジタル戦略の拡充を進めることになりました。

メインキーワードの月間検索回数は500回程度

広告対象製品に関するメインキーワードの月間検索回数は約500回。それほど多くはないため、初めは予算を10万円に設定し、調査・テスト配信を行うことにしました。

運用開始後のクリック数と費用の推移

運用を開始してすぐは、クリック数やクリック単価、コンバージョンの各数値が安定しませんが、約2週間後には各数値が安定し、コンバージョンも発生し始めました。

今回のテスト配信では予算が小さいため、コンバージョン地点を問い合わせに設定するとデータ量が不足します。このような場合、資料ダウンロードやホワイトペーパー閲覧など、より多くのデータが見込める行動をマイクロコンバージョンとして設定する工夫が効果的です。

リスティング広告実施前は月1件程度だった引き合いが、毎月5件程度に増加し、十分な結果が得られました。製品の価格帯が数百万円と高価であるため、商談獲得の単価が5万円程度でも許容範囲でしたが、結果として2万円前後で獲得できたのは良い誤算でした。

製品やサービス、期待する数値によっては、月間検索回数が100〜300回程度でもリスティング広告が効果的な場合があります。

まとめ

この記事では、製造業・メーカーといったBtoB業界におけるリスティング広告の活用方法を紹介しました。

リスティング広告は、ニッチなマーケットであっても、一定数の需要(検索されている)が存在する場合に効果を発揮します。 「優れた製品なのに知られていない」「競合よりも優れたサービスを提供しているのに認知されていない」というのはよく耳にする話です。もしそのような状況が現実であれば、リスティング広告は最良の解決策の一つとなり得ます。

業界や競合の状況によりますが、まずは数十万円・数ヶ月程度の予算で試験的に運用を始めるのがよいでしょう。この記事を参考に、リスティング広告の導入を検討してみてください。


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Posted by kaizuka