【詳細解説】検索広告のコンバージョン単価が高い原因とCPAを下げる方法
この記事ではリスティング広告(Google広告やYahoo!広告検索広告)のコンバージョン単価はなぜ高くなるのかその原因を内部要因と外部要因に分けて解説し、またコンバージョン単価を改善する方法について検討しています。
コンバージョン単価の上昇の具体的な要因はアカウントごとに異なるため、一概には言えませんが、この記事を通じて、コンバージョン単価に関する理解を深め、実際のアカウント運用における改善策の参考として活用していただければと思います。
コンバージョン単価が高くなる要因
このセクションでは、コンバージョン単価が高まる主な要因を「内部」と「外部」の2つのカテゴリーに分けて詳しく解説します。
CPA上昇の内部要因
■予算の拡大・縮小
予算を増やすことは、入札やインプレッションの機会を増やす反面、効果の低いキーワードやユーザーへの入札が増えるリスクも伴います。特に、効果的なキーワードで十分なインプレッションシェアを獲得している場合、予算の増加はクリック単価とコンバージョン単価の上昇を招く可能性があります。
インプレッション シェア
引用:インプレッション シェアについて – Google 広告 ヘルプ
インプレッション シェア(IS)は、広告が表示可能だった合計回数のうち、広告が実際に表示された回数が占める割合です。
インプレッション シェア = 表示回数 / 広告が表示可能だった合計回数
広告が表示可能だった回数は、ターゲット設定、承認状況、品質など、多くの要因を考慮して見積もられます。インプレッション シェアに関するデータは、キャンペーン単位、広告グループ単位、商品グループ単位(ショッピング キャンペーンの場合)、キーワード単位で確認できます。
インプレッション シェアは、入札単価や予算を引き上げた場合に、より多くのユーザーに広告を表示できるかどうかを見定める目安になります。
反対に、予算を大幅に削減でコンバージョン数が減少し、最適化に使用するデータが少なくなることによってコンバージョン単価が上昇するケースもあります。特に、コンバージョンを目標とした自動入札を使用している場合、コンバージョン数の大幅な減少は最適化の精度を低下させるリスクがあります。
■運用の失敗
キーワード選定や広告文作成の失敗がコンバージョン単価を大きく悪化するようなケースはそこまで多くありません。大きな悪影響のある運用上のミスとしては、コンバージョンの設定ミスやを入札戦略変更の失敗などがあります。
また広告運用の成功と失敗は他アカウント(他社)との相対的なものでもあります。
他社が改善しているのに自社は変わっていないという状態も運用の失敗にあたるでしょう。キーワード調整や広告文(広告オプション)のアップデートのような基本的な運用ができていないというミスです。
CPA上昇の外部要因
リスティング広告の成果は、自社の運用だけでなく、外部の要因にも大きく影響されます。適切な運用を行っていても、コンバージョン単価が上昇する場合があります。
■競合他社の許容CPC・許容コンバージョン単価の上昇
リスティング広告のインプレッションやクリックは、広告の品質と入札額によって決定されます。特定のキーワードに対して多くの広告主が高いクリック単価を許容する場合、CPCは上昇しそれがコンバージョン単価の上昇に繋がります。
また、高いコンバージョン単価を許容する企業が増えると、そのキーワードや業種全体のコンバージョン単価が上昇する傾向があります。
■競合他社の新規参入
同じキーワードに入札する企業が増えると、クリック単価は上昇します。特に、キーワードの検索回数や広告のクリック回数が一定の場合、広告主間での競争が激化します。
■他社の運用、LPなどによる成果向上
他社が広告運用やランディングページの改善を行い、成果を上げると、相対的に自社のコンバージョン単価が上昇する可能性があります。リスティング広告は競争が激しいため、一企業の成果向上は他の企業の成果の低下を意味することが多いです。
■検索回数の縮小・季節要因
リスティング広告はユーザーの検索と広告のマッチングに基づいています。検索回数が減少すると、クリック単価やコンバージョン単価が上昇する傾向があります。特に、季節によって検索回数が変動する業種では、繁忙期と閑散期でのコンバージョン単価に大きな差が生じることがあります。
繁忙期と閑散期では検索回数に2倍の開きがある業種では仮に出稿企業の数と広告費の総額が一定だとすると繁忙期と閑散期でコンバージョン単価に2倍の差が出ることになります。
コンバージョン単価は高くなるのが普通
多くの方がリスティング広告やその他の運用型広告のコンバージョン単価は、適切な運用によって下がるものと考えがちです。しかし、成熟した業界におけるリスティング広告の実態は、コンバージョン単価が徐々に上昇することが一般的です。実際、放置しているとコンバージョン単価が悪化するリスクが高まります。
仮に、発生するコンバージョンや検索回数が一定だと考えた場合、出稿する各企業は最大限のコンバージョン数を獲得したいと考えますが、赤字になることは避けたいです。その結果、各社は自社が許容できるCPAの上限まで入札額を引き上げることになります。
このような動きが業界全体で見られると、全体のコンバージョン単価が上昇します。そして、コンバージョン単価の上昇に対応できない企業は広告活動を停止することを選択する場合があります。
コンバージョン単価を維持、あるいは下げるためには、他の競合企業よりも大きな改善を達成する必要があります。
コンバージョン単価をいますぐ下げたい
適切な入札戦略やキーワード選定、広告文の作成を行っているという前提で、リスティング広告のコンバージョン単価を速やかに下げたい場合、以下の手法を検討することが推奨されます。
キーワード追加・マッチタイプをインテント マッチ(旧部分一致)に変更
新しいキーワードを追加したりフレーズ一致や完全一致のキーワードのマッチタイプをインテント マッチ(旧部分一致)に変更することはコンバージョン単価の低下につながる可能性があります。
新しいキーワードを追加することや、フレーズ一致や完全一致のキーワードをインテント マッチ(旧部分一致)に変更することで、コンバージョン単価を下げる可能性があります。一般的に予想されるキーワードのクリック単価(CPC)は上昇しやすく、それ以外のキーワードでどれだけ獲得できるかがコンバージョン数増加やコンバージョン単価改善には不可欠です。
配信地域・配信時間・配信デバイスの拡大
配信地域、配信時間、配信デバイスを広げることで、コンバージョン単価の低下に寄与します。
配信対象が広がると、入札競争が緩和され、CPCやコンバージョン単価が下がる傾向にあります。配信デバイスの拡大に際しては、スマートフォン対応やコールトラッキングの設定が必要な場合があります。
LP(ランディングページ)のCTA最適化
管理画面の設定だけでなく、ランディングページのCTAや入力フォームの改善も、短期的にコンバージョン単価を下げる手法として有効です。CTAに関する下記の記事では例として5つの改善ポイントが紹介されています。
CTA改善のための5つの観点
引用:CTAとは?Webサイトのコンバージョン改善のための5つの観点
1. 適切な場所に設置する
2. テキストを変更する
3. クリックを後押しする要素を入れる
4. ボタンのデザイン
5. 商材によってはハードルを下げたCTAも追加する
エントリーフォーム(入力フォーム)とCTAの改善についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
関連記事:【EFO】問い合わせフォーム改善ガイド
関連記事:【まとめ】コンバージョンを増やすBtoBのCTA戦略
手法のうち最後の「LPのCTA最適化」以外でのコンバージョン単価の低下は、このあとに詳しく記載する”コンバージョンの質”と引き換えになります。
コンバージョンの「数」「単価」「質」はトレードオフ
広告の管理画面での単純な設定変更だけで、コンバージョンの「数」と「質」を保ちつつ、コンバージョン単価を「即座に」「大きく」下げることは難しいのが現実です。
コンバージョンの「数」「単価」「質」は、しばしば相反する要素として働きます。短期的な施策を採用すると、一つの要素を向上させることで、他の要素が犠牲になることが多いです。
- コンバージョン数を犠牲にして単価を下げる
目標とするコンバージョン単価を達成するために、予算を縮小するという方法が考えられます。 - コンバージョンの質を犠牲にして単価を下げる
キーワードの追加や拡張を行うことで、コンバージョン単価を下げることが可能です。また、配信地域や配信時間を広げることも、コンバージョン単価を下げるための有効な手段となり得ます。
本質的なコンバージョン単価改善
コンバージョンの質を維持しつつ、コンバージョン数を増やし、単価を低減させるためには、一時的な対策ではなく、根本的な改善が求められます。以下に示す方法は、時間や労力がかかるかもしれませんが、コンバージョン単価の改善に寄与します。
適切な運用
上記の図はコンバージョン単価の分解とおもな改善ポイントです。
基本的にリスティング広告の運用は「クリック数を増やす」「コンバージョン率を上げる」「インプレッション数を増やす」「クリック率を上げる」のいずれかを目的とします。
その具体的なアクションとして、
- 適切な入札戦略とコンバージョン(コンバージョン値)の設定
- 高いクリック率、低いクリック単価、高いコンバージョン率を持つキーワードの選定
- クリック率とコンバージョン率を向上させる広告文の作成
などが考えられます。
管理画面の外側の改善
運用の成果に影響を与える要因は、管理画面内だけでなく、その外部にも存在します。
例として、リスティング広告を通じてランディングページを訪れたユーザーが、後に企業名やサービス名で再検索するケースが考えられます。このような場合、自社のウェブサイトや他の検索結果で適切な情報を提供することが重要です。
また、権威のあるサイトへの投稿やポータルサイトでの広告掲載により、信頼性を高めることや、実際のユーザーの口コミを容易にアクセスできるようにすることで、ユーザーの不安を取り除くといった対策も効果的です。
LP(ランディングページ)
適切な訴求と高いコンバージョン率を持つLP(ランディングページ)は、コンバージョンの「数」「単価」「質」を総合的に向上させる要因となります。例を挙げると、ランディングページの最適化により、コンバージョン率が1%から1.5%に向上した場合、1万円だったコンバージョン単価は約6,667円に低下します。
- 現在のコンバージョン率1%の場合
100人の訪問者がいたとき、コンバージョンする人数は:100人 × 0.01 = 1人
この1人のコンバージョンにかかるコストは1万円です。 - 改善後のコンバージョン率1.5%の場合
100人の訪問者がいたとき、コンバージョンする人数は:100人 × 0.015 = 1.5人
この1.5人のコンバージョンにかかるコストは:1万円 ÷ 1.5 = 6,666.67円(約6,667円)
ランディングページの新規制作には数十万円の費用と数週間の期間がかかるため、多くの企業がこれを後回しにしてしまいます。
しかし、コンバージョン単価が1万円で、100件のコンバージョンに100万円を投じている場合、コンバージョン率が1%から1.5%に向上すれば、同じ100件のコンバージョンを66万円で獲得できることになります。
この計算から、50万円の制作費用はわずか2ヶ月で回収可能であり、その後も良好なコンバージョン率と単価での運用が期待できます。
ランディングページの考え方についてはこちらのページで詳しく解説しています。
媒体の予算配分の調整
予算アロケーションは、広告運用の効果を最大化するための重要なステップです。
例えば現在Google広告のみを配信している場合、Yahoo!広告の導入も検討することができます。単純にYahoo!広告の方がGoogle広告よりもコンバージョン単価が低い可能性がありそれだけでコンバージョン単価が改善するかもしれません。
理論的には、両者のコンバージョン単価は近似していくはずですが、業界やランディングページの特性によって、実際の単価には差が生じることがあります。
さらに、広告予算の分割による効果も無視できません。高いインプレッションシェアを持つと、コンバージョン単価が上昇する傾向があります。
例えば、コンバージョンが100件発生するマーケットにおいて10件のコンバージョンを獲得するより80件のコンバージョンを獲得する方がコンバージョン単価は高くなることはイメージできるかと思います。100万円の予算を1つの媒体に集中させるより、2つの媒体に50万円ずつ分散させることで、コンバージョン単価を下げる効果が期待できます。
まとめ
コンバージョン単価の上昇には、自社の運用ミスという内部要因と、外部のコントロール不可能な要因が存在します。
検索広告の運用を一定のレベルまで最適化すると、管理画面内での改善点は限られてきます。基本的な運用は欠かせませんが、それを超えた次のステップとして、ランディングページや検索結果ページの最適化に注力することが推奨されます。
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