後悔しないリスティング広告外注先の選び方
リスティング広告の運用は、多くの場合、代理店や専門の運用会社に外注されています。しかし、外注すればうまくいくのかというと、必ずしもそうではありません。
本記事では、リスティング広告の導入を検討中の方や外注を考えている方に向けて、
「リスティング広告の運用を外注すべきかどうか」
「外注先を選ぶ際の重要なポイント」
について詳しく解説します。
外注 or インハウスは長期的な企業の戦略
リスティング広告の運用を外注するか自社内で行うかは、企業の長期的な戦略に関わる重要な決断です。
この判断を行う際には、いくつかの重要なポイントを考慮する必要があります。
まず、広告が事業全体にどの程度重要な役割を果たしているかを評価しましょう。次に、デジタルマーケティング全般の会社における位置づけを考えます。そして、社内のリソース(人材、時間、専門知識など)の充実度も重要な要素となります。
ただし、すべてを外部に委託するか、すべてを社内で行うかという二者択一ではありません。事業の特性やその時々のフェーズに応じて、最適な選択を行うことが大切です。
多くの企業では、まず外部の業者と進めることでノウハウを蓄積し、その後、徐々に社内体制を整えてインハウス化していくというアプローチをとろうとします。これは、リスクを抑えつつ、段階的に自社の能力を高めていく効果的な方法の一つと言えるでしょう。
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外注するメリット
外注メリット① 成果の改善・失敗リスクの回避
当然ながら、専門知識を持つ人材に任せることで、運用成果の向上が期待できます。素人が適当に運用する場合と比べると、成果が2倍や3倍になることも珍しくありません。
ただし、最近ではGoogle広告やYahoo!広告など媒体のヘルプページが充実し、管理画面わわかりやすく運用自体も簡素化されてきたため、以前ほど素人とプロの差は小さくなってきた印象があります。ヘルプに記載されている内容を正しく理解できる読解力があれば、60点くらいの運用は可能かもしれません。
それでもまともな代理店や経験豊富な担当者は80点や90点の運用を実現できるため、外注することで大きなメリットを得られるアカウントは多いと言えます。
外注メリット② 時間が捻出できる
ある程度のレベルで運用しようとすると、小さなアカウントを簡易的に運用したとしても月に10時間程度、知識のない人がリサーチしながら運用を行う場合には20〜30時間程度の時間がかかることも珍しくありません。
外注によって確保できる数十時間のリソースは、ビジネスに大きな影響を与える可能性があります。特に、社長や役員の方がリスティング広告の運用にこれほどの時間を割くべきではありません。その時間を本来の経営業務に充てることで、より大きな価値を生み出せるはずです。
外注のデメリット
外注には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。これらを理解することで、より適切な判断ができるでしょう。
外注デメリット① 外注先選定に失敗すると成果が悪化する
外注すると必ず成果がよくなるわけではなく、外注先の選定に失敗すると期待した成果が得られないばかりか状況が悪化する可能性もあります。
代理店に外注したけれど成果はそこまで改善しなかったといったケースも少なくなく、むしろコミュニケーションコストと外注コストによって負担が増加することもあり得ます。
外注デメリット② 社内に知見が蓄積しない
外注によって社内に具体的な知識や経験が蓄積されにくくなる点も考慮すべきです。
将来的にインハウス化を目指さない場合でも、代理店に全てを任せきりにするのはリスクが高いため、ある程度広告に理解のある人材やチームを社内で育成していくことが重要です。
外注デメリット③ コストが発生する
一般的に広告費の20%前後が手数料として発生します。広告費が小さな段階では大きな問題にならないかもしれませんが、例えば広告費が月500万円の場合、20%で月100万円もの手数料が発生します。
この規模になると、外注よりもインハウスで運用したほうがコスト効率が良くなる可能性も出てきます。
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外注デメリット④ スピードが遅くなる
一部の小規模な代理店やフリーランスを除き、外注するとどうしても対応が遅くなりがちです。
自社で運用していれば即日で変更できることも、外注の場合は「クライアント→担当者→運用者→担当者→クライアント」というような複雑なコミュニケーションフローが発生し、結果として大きな時間とコストがかかってしまいます。
これらのデメリットを十分に理解し、自社の状況と照らし合わせて外注の是非を判断することが重要です。
外注先の選択肢
リスティング広告運用の外注先には様々な選択肢があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。以下、主な外注先候補の特徴を見ていきましょう。
インターネット広告代理店
近年、リスティング広告専門の業者は減少傾向にあり、ほとんどの代理店がMeta広告などの他媒体やサイト制作、SEOなど幅広いサービスを提供しています。
スキル面では最も期待できますが、実際には玉石混交の状況です。優れた会社と担当者に出会えればよいですが、その確率は必ずしも高くありません。個人的な感覚では、中小規模予算の広告主が適切な代理店と担当者に発注できている割合は30%程度ではないかと推測されます。
総合代理店
数百万円から数千万円の大規模予算を扱う場合、ネット専業ではなく総合代理店に依頼することもあるでしょう。実際の運用業務は下請けの運用会社が行っていることも多く、総合代理店は窓口としての役割を果たしているケースが多いようです。
制作会社
ウェブサイトの制作を本業にしている企業が広告運用まで支援しているケースもよく見られます。制作会社によって能力は異なり、ヘルプや解説記事に沿った基本的な運用であれば多くの会社で可能そうですが一般的に高度な運用は期待できません。
また、制作会社が他の運用会社に広告運用を再委託していることも多くあります。クライアントが自分で運用会社を探すよりは失敗する可能性が低くなるかもしれません。
フリーランス・個人
近年、フリーランスとして運用代行を行う人が増えています。主に「シューマツワーカー」や「カイコク」などの副業マッチングサービスやX(旧Twitter)、「クラウドワークス」や「ランサーズ」のようなクラウドソーシング、代理店の下請けなどで案件を獲得しています。代理店に依頼した場合も実際の運用は外部のフリーランスが行っているケースも増えています。
フリーランスや個人は、法人に必要な事務所経費や管理コスト、その他運営費などの間接費用や固定費が少ないため、費用を抑えられることが多いです。広告運用代行における一般的な手数料は広告費の20%ですが、広告費の10%のコミッションやフィー制、時給ベースで依頼できることも多いでしょう。
最適な外注先を条件別に検討する
リスティング広告はどこに外注すべきなのか、主要な条件別に検討してみましょう。
条件:広告予算
予算の規模によって、適切な外注先がある程度決まってきます。
例えば、月20万円の広告予算で一般的な代理店に依頼した場合、十分な対応は期待しないほうがいいでしょう。20万円の20%、つまり月4万円しか粗利が見込めず、間接コストなども考慮すると代理店側が十分な工数をかけるのは困難です。一方、フリーランスであれば、月4万円の報酬でもある程度の対応をするはずです。
同様に月100万円という予算の場合でも、名の知れた大手の代理店に依頼した場合にはアカウントが放置されたり新人が適当に管理するアカウントの対象になる可能性があります。
自社のフェーズに適した外注先と担当者をつけることは非常に重要です。
条件:業界や商材
特定の業界や商材に特化した代理店を選ぶことで、キャッチアップの時間が短縮されるというメリットがあります。「単品通販に特化した代理店」「医療系の広告に強い代理店」「SaaSのリードナーチャリングが得意な代理店」「金融系企業ばかり支援してる代理店」などが考えられます。
業界理解や業界経験を最優先するような場合にはこういった軸で外注先を探すのもよいでしょう。
条件:依頼したい業務範囲
外注したい業務範囲によっても、適切な選択肢が変わってきます。
広告運用のみを依頼する場合は、ネット専業代理店やフリーランスでも十分対応可能です。
しかし、サイトの制作や管理、一部制作までをまとめて依頼したい場合には、より包括的なサービスを提供できるネット代理店以上の規模の会社を選ぶ必要があるでしょう。
さらに、メディア戦略やPRなど、より広範囲なマーケティング活動を含める場合には、大手代理店への依頼が適切となります。
失敗しない外注先の選び方
重要なのは担当者
「営業マンの印象がよかったから契約したが、実際の担当者はまったく期待と異なっていた」というのはよく聞く失敗パターンです。
リスティング広告を外注する際、多くの方が会社を比較しますが、実は外注先の会社以上に担当者や実際に運用する人間が重要です。誰が担当するのか、担当者の変更はどれくらいの頻度であるか、分業化している代理店の場合は担当者と運用者の詳細を把握することが大切です。
条件を整理する
すべての企業に最適な外注先というものは存在せず、各社の状況に応じて最適な外注先は異なります。
外注したい業務の内容によって選ぶべき外注先は変わってきます。例えば、指示に従って作業を行ってほしい場合、管理画面に関する運用をすべて任せたい場合、Webマーケティング全般に関するコンサルティングを求める場合など、それぞれのニーズに合わせて選択する必要があります。
また、予算規模に合わせた外注先を選ぶことも重要です。月3,000万円の予算がある場合、零細企業やフリーランスへの依頼は業務対応力や有事の際のリスク管理の観点から避けたほうがよいでしょう。
一方、月30万円程度の予算の場合、中堅規模以上の代理店に依頼するとアカウントが放置される可能性が高くなるため、より小規模な外注先を検討することをおすすめします。
おすすめの選び方は紹介
「リテラシーのある」「信頼できる」人からの紹介は外注先選びで失敗するリスクを大きく下げてくれるでしょう。スキル的に適切な代理店を選定するためにはある程度のリテラシーが必要で、かつ自分の損得を無視して企業をアドバイスしてくれる知人がいたら聞いてみるべきです。
広告露出が多い、有名である、上場企業の子会社であるなどの理由だけで評価できません。実際には、そういった企業の中にも業界評判の悪い会社も多く存在します。業界知識のない人が短時間で適切な外注先を見分けるのは難しいため、Webマーケティング業界に精通した信頼できる知人にアドバイスを求めるのは効果的でしょう。
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