導入前に知りたかったリスティング広告のメリットとデメリット
リスティング広告の導入を検討している方に向けて、広告運用を支援する代理店の立場から正直にメリットとデメリットをまとめました。
リスティング広告の仕組みをおさらい
まずは「リスティング広告」について仕組みや概要を簡単におさらいします。
検索連動広告とは
リスティング広告とはユーザーが検索したキーワードに連動して検索結果にテキスト形式で表示されるWeb広告です。リスティング広告の言葉の定義が難しくバナーで表示するディスプレイ広告なども含むことがあるので、それらを除いた検索に対する広告の部分だけを指して検索広告(検索連動型広告)と呼びます。
この記事でのリスティング広告は基本的に検索広告(検索連動型広告)を指しています。
どのくらい利用されているか
2023年の検索連動型広告費の市場規模は1兆729億円(前年比109.9%)で、初めて1兆円を突破しました。検索連動型広告の広告費がインターネット広告媒体費全体に占める構成比は39.9%です。
ネット広告の手法や媒体が多様化するなかで、検索広告は現在でもマーケットの約40%を占める主要な広告手法となっています。
参考:「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
リスティング広告のメリット
リスティング広告がここまで使われている理由を広告主の立場から考えてみました。
CV獲得に強い
広告には認知獲得やブランディングなどさまざまな目的がありますが、検索広告がもっとも効果を発揮するのは問い合わせや申し込み、購入といった売上に近い成果を獲得する場面です。
その理由はなんといってもリスティング広告が「問題(買いたい、相談したいなど)を解決するための検索行動をとっているとニーズが顕在化しているユーザー」に対してアプローチすることができるためです。
その一方で、検索広告は大規模な認知の獲得を目的とするような場合には適していません。検索広告で10万人にアプローチすることはほぼ不可能です。
短期間で効果が出る
問い合わせや購入といった成果が、早ければ数日で出る早さも魅力のひとつです。
ランディングページとなるWebサイトやクレジットカード情報などが揃っていれば、最短2〜3日での配信開始や成果の獲得も可能です。広告用のランディングページを制作する場合には、1ヶ月くらいの時間を要することが一般的です。
実際に弊社でご支援させていただく場合、契約に数日〜1週間、そこから1週間くらいで配信が開始されることが多いため、最短でいまから2週間前後でコンバージョンが出始めることになります。
低予算から実施可能
多くのインターネット広告にも当てはまることですが、月額5万円や10万円からでも始められるのは大きなメリットです。看板や雑誌広告のように数十万円から数百万円といったまとまった金額がなくても、開始することが可能です。
少額から始めることはできますが、基本的には投資した費用に応じた成果しか得られません。10万円なら10万円なりの成果、100万円なら100万円相応の効果が期待できます。低予算で始められるからといって、1万円から始めれば良いというわけではありません。
成果が悪いとき撤退しやすい
広告の効果が費用に見合わないと判断した場合、予算を縮小したり広告から撤退しやすいのもメリットのひとつです。
どのくらいの成果が得られるかは、実際に配信してみないとわからないケースがほとんどです。すでに複数の競合がリスティング広告を配信しているようなケースであれば一定の需要があることが予想できますが、新規のサービスや競合も出稿していないような場合にはマーケットがあるのか予測が難しいです。
弊社で支援させていただく場合にも、まず30万円配信してみて筋があるのか見定めるといった方法をとることもよくあります。
配信後に予想外に成果が上がらないことや、ランディングページの作り直しなどの大幅な立て直しが必要になることもあり、そういった場合にすぐやめることができるのも魅力のひとつです。(広告代理店との長期の契約には注意が必要です。)
計測できる
どのような問い合わせが何件あったのか、何回表示されて何回クリックされたのか、実際にどのような語句でユーザーのクリックを獲得しているのかなど、多くのデータを確認できることは大きな強みです。
多くの情報が集まるからこそ、行動や改善につながらないデータの確認や深掘りは時間の無駄であることにも注意が必要です。
リスティング広告のデメリット
費用が継続的に発生する
広告なので当然のことではありますが、費用が継続的にかかる点はデメリットと考えられるかもしれません。
Web関連の施策としては、SEOやクチコミ、CRM施策のように効果が積み上がっていくものもありますが、リスティング広告(検索広告)は基本的に成果が出るか出ないかの断片的で一過性の施策です。
また、広告で成果が出た場合でも、「広告を止めると成果も止まるためやめられない」という状況も起こり得ます。ビジネスの性質によりますが、広告で成果を獲得している間に、SEOやSNSなどの広告費に頼らない他の施策を進めるのが望ましいでしょう。
相性の悪い業界もある
どのようなビジネスでも検索広告が適しているわけではありません。例えば下記のような場合には他の施策を採用したほうがよいケースもあります。
ニッチすぎて検索されない:業界がニッチすぎてサービスや商品が検索で探されていないという場合です。BtoBのビジネスなどでよく起こります。
ニーズが顕在化していない:例えば新しい技術を活用した世界初のサービスなどは、消費者にまだニーズがないので検索されないため向いていません。消費者が不便や問題だと感じていないものを解決するサービスも検索広告には向いていません。
低単価・薄利:日用品のような単価が安いものや薄利なものは、広告費を回収できる利益を得られないため広告には向いていません。
競合の影響を受ける
リスティング広告は入札によってクリック単価等が決まるため、競合の動向によって自社の成果が影響を受けることになります。
他社が高いクリック単価やコンバージョン単価を許容すると、自社のクリック単価やコンバージョン単価も上昇します。短期間でコンバージョン単価の相場が3倍になるようなことがあればリスティング広告から撤退しなければならなくなるかもしれません。
コントロールできない部分が大きいことはデメリットになります。
最適化のためにはある程度の予算は必要
リスティング広告は予算が自由に設定できるといっても、成果を出そうとするとある程度の予算は必要です。問い合わせや資料請求のようなコンバージョン獲得を目的にする場合、月に30件の目標を達成できる予算があるのが理想的です。
例えば、1コンバージョンを5,000円で獲得できる場合、30コンバージョンを獲得するには15万円の広告費が必要になります。1コンバージョンを獲得するために必要な費用は、そのコンバージョンの内容や業界、業種によって大きく異なります。
運用スキルや情報のキャッチアップが必要
リスティング広告の基本的な運用方法やGoogleが推奨するアカウント構成は、数年単位で大きく変化していきます。管理画面の操作方法はヘルプを読めば理解できますが、知識やスキルを常にアップデートし続けるには、相応のコストがかかります。
SEOやSNS広告と比較
検索広告を、よく導入される施策であるディスプレイ広告やSNS広告、SEOと比較してみました。
検索広告 | ディスプレイ広告 | SNS広告 | SEO | |
コスト | C | B | B | A |
即効性 | A | B | A | C |
資産性 | C | C | C | A |
伸び | B | B | A | A |
難易度 | B | B | B | C |
リーチの広さ | B | A | A | A |
並べてみると、リスティング広告(検索広告は)即効性はあるものの、コストがかかり資産性がないという特徴がわかりやすくなります。
検索という顕在化したニーズに対する広告であるため、確度の高いユーザーにアプローチできます。しかし一方で、検索行動がないとアプローチできないため、拡張性については課題があります。Meta広告を代表とするSNS広告は、検索行動がなくてもコンバージョンに近いユーザーにアプローチできます。
検索広告とSEOは、即効性と資産性の点でまったく逆の強みがあります。どの時間軸で成果を出したいのかという戦略によって、施策の選定基準が大きく変わります。
リスティング広告導入のチェックポイント
リスティング広告で一定の成果を出すためには、下記の条件が必要です。
顕在化したニーズがある
デメリットの項目でも説明した通り、検索行動に現れる顕在化したニーズがないと、検索広告で接点を作ることはできません。
配信中のGoogle広告アカウントがある場合は「キーワードプランナー」、そうでない場合には「ラッコキーワード」などのツールを使って、自社がターゲットとする主要なキーワードがどれくらい検索されているか確認してください。
メインとなるキーワードの月間検索回数が10回や50回程度しかない場合は、わかりやすい成果は得られない可能性があります。
サービスや商品力が競合他社と比較して劣っていない
鍵紛失や水回り修理のように一刻を争う緊急性の高いサービスを除けば、ユーザーは広告を含む複数のページを訪問し比較検討することが考えられます。
競合と比較されて結局負けるようなサービスや商品であれば、リスティング広告で接触機会をつくるのはあまりおすすめできません。広告によって見込み客を集めても、結局受注できない、または購入されないのであれば、まったくの無駄な費用となってしまいます。
相場並みの獲得単価を出せる
同じ業界で同じようなソリューションの広告を行う場合、1社だけが圧倒的に獲得単価を小さくできるということはあまりありません。もちろん運用内容やランディングページの改善で獲得単価を下げることは可能ですが、業界平均の1/10になることはほぼありません。
特にBtoBの広告では差別化が難しく、「◯◯業界の問い合わせ獲得」「◯◯業界のホワイトペーパーダウンロード」の単価はある程度決まります。
競合他社が資料請求に1万円を出しているマーケットでリスティング広告を行うのであれば、まずは1万円を目標にします。それが出せないのであれば、まずは問い合わせ後のフローや営業などの後工程の改善によって業界平均の獲得単価を出せるようにする必要があります。
Google 広告・Yahoo!広告・Microsoft 広告
検索広告のプラットフォームとして主要なのが Google 広告、Yahoo!広告、Microsoft 広告です。
Google 広告は最も利用される検索エンジンであり、最も広いリーチの可能性があります。またディスプレイ広告、YouTube、アプリなどの広告へ展開しやすい点もメリットです。ヘルプや解説記事も充実しており、検索広告を始める際には失敗しにくいプラットフォームです。
検索といえば Yahoo!という層がいて、国内においては一定のシェアを保っています。基本的には Google 広告をある程度やってから、または並行で実施する傾向があります。 BtoC などの一部の商材では Google よりも効果が出る可能性があります。
Microsoft 広告は Microsoft の検索エンジン Bing と連携しており、Windows デバイスのデフォルト検索エンジンとして利用されています。BtoB 商材やサービス、自宅 PC の検索エンジンを初期設定から変更しない年齢層やリテラシー層をターゲットとする場合には効果的です。
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