リスティング広告の見積もりをとる前に絶対に準備しておくこと

リスティング広告

リスティング広告に限らず、新しい施策を検討したり導入する際には、見積もりの発行を依頼することが一般的です。特に、複数の会社から見積もりを取ることが必須とされている場合もあります。

この記事では、リスティング広告の運用代行を依頼する際に準備しておくべき点や、特に注意しておくべき事項をまとめています。効果的な見積書の発行や、最適な発注先の選定に役立てていただければ幸いです。

見積もり作成に必要な事項

見積書の発行を依頼する目的は何でしょうか?社内の規定で「複数社から見積もりを取得しなければならない」といった状況でない限り、かかる費用や依頼できる作業内容を正確に把握するためになるでしょう。

「リスティング広告を検討しているので見積もりをください」という問い合わせをいただくことがありますが、弊社ではヒアリングなしの見積書作成は行っておりません。それは、リスティング広告をはじめとする運用型の広告は、ラーメン1杯やジュース1本のように金額が固定されているわけではないからです。

もし運用代行フィーを「作業内容に関係なく広告費の20%」のように設定するのであれば、広告費だけで見積もりの作成が可能です。それは「見積書」として成立しますが、わかるのは金額だけで、業務の範囲や追加の費用は明示されません。

依頼を検討する際に十分な情報が得られる「適切な見積書」を作成するためには、どのような事項を伝えるべきでしょうか。以下に一例を記載します。

広告の目的

広告運用を依頼する際、達成したい具体的な目標を明確にしましょう。

例えば、以下のような目標が考えられます:

  • 「問い合わせを◯◯件獲得したい」
  • 「現在のCPAを◯◯円まで下げたい」
  • 「◯◯の作業が社内でできないので依頼したい」

これらの目標によって、必要となる作業内容や量、難易度が変わるため、最初に確認することが重要です。

予算

広告予算が10万円と1,000万円では、実施できる戦略も大きく異なります。予算の上限や検討している広告費の範囲によっても選択肢が変わるため、正確に決まっていなくても概算での情報共有は有益です。

適正な広告予算は企業の戦略と目標によって決まります。予算によっては広告を実施する前の段階で「目標達成が現実的ではない」と判断できる場合もありますし、逆に「そんなに広告費を使っても結果は変わらない」といった場合もあります。そういった意味でも認識は揃えておく必要があります。

関連記事:【結論】リスティング広告の費用はいくらで始めるべきなのか?

現在の状況

広告の対象となるサービスや商品について、詳細を伝えることが求められます。リスティング広告が不適切な商材、または出稿が許可されないジャンルも存在するためです。

既に広告運用を行っている場合は、その成果状況を共有しましょう。社内での運用状況や、代理店に依頼している場合の情報も伝えると、よりスムーズなコミュニケーションが可能です。

その他

情報は多ければ多いほど良いです。社内で可能な作業範囲、外部に依頼したい内容、希望する開始時期など、できるだけ多くの情報を提供しましょう。

意味のある見積書とは

さて、代理店から見積書が送られてきたら、どこを確認して比較すればよいのでしょうか。例えば、「広告予算は100万円」ということだけを伝えて見積もり依頼をすると、以下のような見積書が送られてきます。

項目金額
1.月額広告費100万円
2.月額運用代行手数料
(広告費の20%)
20万円
合計120万円

代理店によって運用代行手数料の部分が20%だったり10%という違いがありますが、それはそこまで重要ではありません。ここで問題なのは、運用代行の内容がわからないので正しい比較検討ができないということです。

これを解決するために、運用手数料部分にどのようなものが含まれるのかをできるだけ明確にしなければなりません。事前に詳細を決定することは困難なのですが、「バナーの作成はする/しない」「レポートはする/しない」「訪問する/しない」くらいでもあれば比較の材料になりえます。

項目詳細金額
1.月額広告費100万円
2.月額運用代行手数料
(20%)
・Google 広告(検索+ディスプレイキャンペーン)
の運用代行
・ディスプレイ広告用クリエイティブ作成
(3パターン)
・デイリーのモニタリングと週次の運用状況メール
・オンラインでの月次打ち合わせ
20万円
合計120万円
項目詳細金額
1.月額広告費100万円
2.月額運用代行手数料
(20%)
・Google 広告の運用代行            
・定型報告書の送付
20万円
合計120万円

上記2つの見積もりは同じ手数料20%ですが、その運用代行の中身はまったく異なります。

と同時に、業務範囲は広ければよいというものではないので、成果を出すために必要十分な内容を見極めなければなりません。

関連記事:なぜリスティング広告を手数料が安い業者に依頼すると失敗するのか

シュミレーションは役に立たない?

リスティング広告の見積もり作成に合わせて、広告シュミレーションの作成を依頼されることも少なくありません。社内稟議を通りやすくする目的としては意味があるのかもしれませんが、効果を予測することが目的であればシュミレーションはほぼ役に立ちません。

リスティング広告の効果を予測するのが困難な理由のひとつとして、広告の効果に一番影響を与えるものが広告運用の内容ではなく、商品やサービスそのもの(とランディングページ)であるということが挙げられます。広告をどれだけがんばっても、売れない商品は売れません。

また、シュミレーションではクリック率や購入率を予想しますが、「商品紹介ページを見た人のうちどれくらいの人が購入するのか?」のような予想は、業界平均等から算出しただいたいの数値に過ぎません。

見積もりを依頼されても、明らかに商材が広告に向かない場合や目標数値が非常に高い場合などの「これは成果が出ないだろうな」という際には、そのことを正直にお伝えしています。それ以外の多くのケースでは、「実際に運用を行ってみないとどれくらいの効果が出るかはわからない」というのが実際のところです。

「まず見積もり」を断る企業も増加

見積書のポイントとそれに伴うシミュレーションについて解説してみました。情報が十分でないと意味のある見積書にならないことと、その際のシミュレーションもあまり当てにならないものだということがご理解いただけたでしょうか。

最近では、見積もりやシミュレーション作成のような儀式的な業務は行わない企業も増えてきました。根拠のない見積もりとシミュレーションを作成しても、受注率が高まることはあまり望めません。受注率は上がらないにも関わらず、それを作成するコストは発生します。

弊社でも無駄な作業を削減するために、必要な情報がお預かりできない状態での見積もり依頼をお断りしております。

リスティング広告やその他広告運用の外注をご検討されている場合には、本記事でご紹介した内容や貴社ビジネスについてご相談しながら、必要な業務のご提案をさせていただきます。

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この記事を書いた人

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著者名: にしりゅう

Webマーケティングと生成AI分野のエキスパート。10年以上にわたり、広告を中核としたWebマーケティング戦略の立案から実行までを一貫して支援。月額予算100万円前後の中小規模プロジェクトを得意とし、50件を超える成功事例を保有。施策横断的なアプローチに定評あり。最近は趣味の格闘技とトレーニングにのめり込んでいる。

Posted by kaizuka