工務店のホームページ制作はどこに依頼すれば失敗しないのか?
お客様はネットで情報収集を行い、問い合わせもネットで行われることがほとんどです。見込み顧客のほぼ全員と接点を持つホームページは集客や反響獲得のポイントであることは明らかです。それにも関わらず、適当にネットで探したり知人に紹介されたとことでそれなりのホームページを作ってしまっていないでしょうか?
本当に効果的なホームページを制作するためにはどこにどのように依頼すればいいのでしょうか?工務店や住宅会社がホームページ制作を外注するにあたって前提となる考え方を確認しながら、どれくらいの金額をかてどこに依頼するべきなのかを考えてみました。
会社の規模や予算、社内の人材、戦略によって最適な選択は変わってきます。自社がホームページに期待することや各業者の特徴を踏まえながら、よりよい選択の参考にしてみてください。
(Webサイトをホームページと表現することに違和感はありますが、一般的に「企業の公式Webサイト」が「ホームページ」と呼ばれることも多いためこの記事ではそのように表記しています。)
工務店ホームページに期待する役割
企業とりわけ工務店のホームページにおいて、企業の公式Webサイトの役割とは何なのでしょうか。「集客や問い合わせを獲得すること」というのは簡単ですが、実はそれ以外にも様々な使われ方をしていそうです。
- 会社の正しい情報を伝える
- 既存顧客へのブランディング
- 広告のランディングページ
- 新しい見込み顧客との接点をつくる
ホームページは問い合わせを獲得することだけではなく、問い合わせをしなかった人にもよい(正しい)イメージや情報を伝えることも必要です。例えばOBから見て「かっこいい!」と思えるようなホームページにすることで、OBから知人への紹介が生まれやすくなるかもしれません。
会社が伝えるべきものや何を優先するかは会社ごとにすべて異なります。それにも関わらず、格安テンプレートホームページは画一化されたフォーマットで成果を出そうとするので失敗するのでうまくいかないのも当然です。
集客できるホームページとは
企業経営の目的は利益や売上の拡大です。ホームページはそのためのひとつの道具であり、目的に貢献しなければ意味がありません。
重要なのは問い合わせや見学会などイベントの参加であってホームページの訪問者数ではありません。代理店や支援会社のなかには「先月はホームページに○○人の訪問がありました。」といったようにホームページの訪問者数を報告するような会社もありますが、ホームページに人が訪れてもあまり意味はありません。広告を使えばデータ上の1訪問者なんて1円以下で集めることが可能です。なにかしらの指標にはなりますが、メインの指標にしてはいけません。
また、住宅といった高単価で検討期間の長い商材についてはすぐにコンバージョン(予約や問い合わせ)が発生するわけではないということを理解しなければなりません。
ホームページに訪問するすべてのユーザーが「資料請求したい!」「見学会を予約したい!」のではありません。ほとんどは「広告で見かけたからなんとなくクリックしてみた」「どんな会社があるのかとりあえず検索してみた」「スーモのリンクをクリックした」などで、すぐに行動したい人は数%です。
また住宅会社に問い合わせるというのは、500円の商品を購入したり無料メルマガに登録するのとは違い家族との相談や他社との比較が発生します。ホームページの数値を確認する際にも、ユーザーは複数回の訪問と検討を繰り返して問い合わせや資料請求を行っていることを理解しなければなりません。そこがわかっていないために「CV率がよい/悪い」「直帰率が高い/低い」のようなあたかもそれらしい無駄な議論に時間を使っているケースが多くみられます。
工務店/住宅会社ホームページの費用相場
ホームページの制作をするにあたって、制作会社に外注するとどれくらいの金額がかかるものなのでしょうか。数十万円程度の金額で作る会社もあれば、数百万円の見積もりになる企業も存在します。価格を大きく変える要素としては下記のものがあげられます。
- ページ数などのボリューム
- 撮影の有無
- システムなど機能
- 進め方(確認や修正の回数、連絡コスト)
- 納期
これらの工数(所要時間)をベースに企業がどれくらいの利益を必要とするかで変化します。必要とする利益は企業が大きくなるにつれて大きくなりますが、中小や零細の制作会社でも暴利を乗せていることもありますので一概に企業規模のみで判断もできません。
工務店の公式ホームページのような10ページ程度の一般的なサイトであれば100~200万円程度が相場で、200万円以上の場合には対応範囲が広かったり単純に高すぎる会社です。弊社のホームページ制作では、デザインしてコーディングを行うというものだけではありません。サイトの役割と目的や目標の設定、消費者やマーケットの分析、を時間をかけて行うので一般的な制作会社よりも金額は高くなります。
製造業や生産管理の業界にQCDという概念があります。QCDとはQ(クオリティ)C(コスト)D(納期)のバランスのことです。
ホームページという制作物に関してもこれが当てはまることが多く、「よいものを早く安く」というのは現実的ではありません。いいものを求めるのであれば納期か金額を妥協するしかなく、安いものを求めるのであれば悪いもので我慢するか納期を長くするかないということです。家づくりに関わる人であれば理解ができると思います。
小さな工務店のホームページ制作業者の選び方
ホームページ制作会社をネットで検索すると無数の制作会社がヒットします。ひとつひとつ検討するときりがないので、まずは大まかにプレーヤーを分類します。それぞれの大まかな特徴や金額感を踏まえることで、依頼先の検討が楽になります。
格安ホームページ業者
ネットで検索をすると「10万円〜のホームページ」「30万円のパック料金」など格安でホームページを作る業者をよくみかけます。これらの会社は一度作ったフォーマットやテンプレートを利用し短納期、小工数でホームページを制作することによってコストを抑えています。
価格が安い理由から考えられるデメリットとして下記のことが考えられます。
・テンプレートに情報を当てはめるだけなので自由が効かない
・安いのは最初だけで、月額費用やオプションがかかり結局ランニングで高額になる
このあたりの業者を使ったほうがいいという状況はあまりありません。どうしてもコストを抑えなければならずホームページにこだわりがないというのであれば「wix」「ペライチ」といったホームページ制作ツールを活用したほうが確実にマシです。知り合いでネットに詳しい個人を紹介してもらって10万円くらい支払ってこれらのサービスでホームページを作ってもらうのもいいかもしれません。
一般的なホームページ制作会社
国内に数百社もある制作会社から自社にとってベストな制作会社を見抜くのは困難で素人にはほぼ無理だと考えて大丈夫です。一番いいのは業界で働いている信頼できる人や利害の絡まない第三者から紹介してもらうことです。
難しい理由として制作物のクオリティを外から判断できないということに加え、会社内でも担当やディレクター・デザイナーでアウトプットが変わるためです。会社のレベルによってある程度の質の担保は見込めますが相性の合う合わないなども起こりえます。信頼できる人に紹介してもらうのが一番ですが、それが難しければ検索やSNSなどで評判のよさそうな制作会社を5社程度ピックアップし相談をお願いするのがよさそうです。
工務店特化のホームページ制作会社もいくつか存在しますが、特化していることと効果が出るかはまったく関係がありません。単純に営業戦略上そちらのほうが契約が取りやすいからが理由であることのほうが多いでしょう。パッケージで100万などの料金も避けておいたほうが無難です。
業者の判断は難しいし面倒なので、情報を入力すれば複数社の提案を受け取ることができる「ホームページ一括見積りサービス」も魅力的にも見えますが、一括見積りサービスの評判がよくないことと構造的にいい業者が存在しないという記事を以前書きました。
住宅系コンサルティング会社
住宅不動産系に特化した各コンサルティング会社でもホームページ制作やリニューアルの提案や支援を行っています。コンサルティング会社にホームページ制作を依頼するメリットとしては、①楽なことと②平均点がとれることがあります。
現在取引のあるコンサルティング会社に依頼すれば、新しい業者の選定ややり取りなどの説明コストが削減できます。特に担当できる人材やリソースがない場合には丸投げして対応してくれるのは魅力的です。多くの場合は既存のテンプレートを使い回して制作されますので、短納期で平均点をとれる可能性が高くなるというメリットもあります。
一方デメリットとして、①コンサルタントにホームページ(Webサイト)やネット集客の知見がないことと②金額が割高になることが上げられます。
コンサルタントの専門領域にもよりますが、ネットの集客やホームページについて十分な知見があるケースは稀です。一般的には下請けの制作会社に発注するだけですので、それが本当に効果的なのか?自社に適しているか?はわかりません。またクライアントと制作会社の間に入ってフィーをとるので、当然ですが金額が高くなります。コンサルティング会社が制作会社に50万円で発注してクライアントに150万円で販売するようなことも珍しくありません。
住宅業界に特化したHPパッケージ
ホームページの依頼先を検索してみると「住宅業界に特化したHP!」「集客が10倍!」などを謳うサービスもよく目に付きます。費用としては月額5〜10万円の定額や150万円程度のパッケージなどさまざまです。費用が抑えられて十分な成果が出そうであれば弊社でも導入・活用したいのですが、まだそのようなサービスは見つかっていません。
フリーランスという選択肢
最近では企業に属さずに個人で仕事を請けるデザイナーやエンジニアも増加しています。こういったフリーランスに依頼をすれば企業の中抜きや管理コスト分を削減することができるので一般的には費用を抑えることが可能です。
ホームページ制作をフリーランスに依頼する場合には、知り合いの紹介ベースで探すか、クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングサイトを活用することが一般的です。フリーランスはクオリティの差が激しく、適切な人を選定するスキルがないならやめたほうが無難です。フリーランスに依頼すると安くなるのか?ということについても記事で書きました。
工務店はホームページをどう考えるか
SNSが発展してもホームページは工務店集客の中心に位置するといったことは向こう数年はかわらないでしょう。ただ昔からあったような折込チラシから会社訪問、契約といったネットを介さない契約は減少し、どこかしらにホームページやインスタといったネット媒体との接点を持つようになることは確実です。
関連記事:工務店のチラシは効果がなくなった?インスタグラムと比較してみた
ホームページはネット集客の中心に位置することになるので、ある程度のコストを割いても問題ないと弊社では考えています。しかし「高ければいい」「機能が豊富だからいい」というものではなく、マーケティングプラン、戦略と一致させる必要があることは繰り返しお伝えしている通りです。
ホームページの役割範囲と期待することを明らかにすると、どこに優先的にお金をかけるべきなのかが見えてきます。例えば戦略としてインスタやYouTubeを集客装置としてSEO(Google検索からの流入)を捨てるのであれば、ホームページは極論1ページのランディングページのようなものでいいかもしれません。
関連記事:工務店が1日でも早くSNS活用に力を入れなければいけない理由
ホームページ制作において時間とコストをかけるべきは、テキストやデザインではなくもっと大きな全体像やマーケティング、ブランドではないでしょうか。ここが決まってはじめて、どの機能が必要でどれは必要ないのかといった議論を行うことができるようになります。まずはゴールの旗を立てましょうということです。
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