住宅会社が「県名+注文住宅」で1位をとるためのサイト作った

工務店/ハウスメーカー

住宅会社や工務店が新規の見込みユーザーにネットでのアプローチを考えると、リスティング広告などの広告の出稿か検索対策(SEO)が最初に思いつきますよね。詳細なSEO論は他の記事に譲るとして、今回の記事では地域工務店で達成すると非常に効果の見込める「◯◯(県名) 注文住宅」のキーワードで検索1位を獲得するまでの記録を紹介します。

キーワードや検索周りの状況を調査

今回順位を狙っていくキーワードに選定とした「県名 + 注文住宅」の検索結果を実際に確認してみると、SUUMOやアットホームなどの大手住宅メディアが5割、地域紙のweb媒体が3割、個別の企業ホームページが2割という状況でした。

会社ホームページを「県名 + 注文住宅」検索の1位に持ってくるにはSEOに特化しホームページ内のコンテンツを大幅に増やすことが必須であると予想しました。確かに1位を獲得できる可能性はあるのですが、ある程度の検索ボリュームのあるキーワードで1位をとるには、そもそものユーザーからの認知(指名検索回数)や被リンク(他サイトからの参照)などが影響力の大きい要因となり得るので、会社ホームページで検索1位を目指すというのはリスクのある選択なのではと判断しました。そこでこの状況を踏まえ、「県名 + 注文住宅」の上位表示を目指すサイトの内容は県内で注文住宅を行う工務店やハウスメーカーに関するサイトにするということにしました。

どのようなサイトを制作するか

上記の通り状況から判断すると、会社ホームページを「県名 + 注文住宅」検索1位のするのは不安定で時間を要する可能性がありましたので、県内の工務店やハウスメーカーの情報をまとめた「まとめ/比較形式のサイト」で制作を進めました。

比較形式サイトの構造

トップページは各企業の情報概要を掲載し、それとは別にそれぞれ企業別の個別ページを作成しています。県内の各工務店やハウスメーカーの指名検索(会社名での検索)は安定したの検索回数が見込めるので、社名検索では公式サイトに次ぐ2位や3位を狙っていきます。

また会社名で上位表示を狙うページだけではなく、関連する記事を追加していきます。「県名 + 注文住宅」検索で1位になったときには1,500文字×30記事程度のボリュームとなっていました。

各記事のライティング

コラムやノウハウのようなコンテンツを作成し月に数本づつ更新を続けました。記事で狙うキーワードは住宅関連の「ハウスメーカー」「注文住宅」「一戸建て」「住宅ローン」「見積もり」「リフォーム」となります。

このサイトの目的は「顧客候補となるユーザーの会社に対してのいい状態での認知獲得」ですので、県外のユーザーはそもそも対象ではありません。そういったユーザーに読まれる記事を書くこともPVを獲得することにもほぼ意味はありません。よって記事内では「○○県の」といった内容や「その土地の気候」に合わせた内容に調整をすることで、商圏範囲における検索順位上昇を試みました。

公開から1位になるまでの期間

サイトを開設し記事を更新すると「県名 + 注文住宅」での検索結果10位以内にはすぐに表示されました。10位以内に入るのは数ヶ月で、そこからは時間をかけてじわじわ順位が上昇していきます。1位を獲得するまでには約10ヶ月かかりました。今回は記事更新のペースはそこまで急がず一年くらいかけてゆっくりと進めましたが、スピードを重視する場合には6ヶ月程度でも達成は可能そうです。

検索で1位になってどんな効果があるのか?

そもそも「県名 + 注文住宅」や「県名 + ハウスメーカー」で検索結果1位を獲得することになにかしらの効果があるのでしょうか。まず目的の確認ですが、目的としては会社の認知向上と資料請求やイベント参加予約といった実際の行動の2点です。

認知への効果としてはこのサイトのトップページのアクセスが月に数千ありますので、毎月それだけのユーザーに対して会社の存在と競合他社との違いを伝えることができています。本サイトの対象ユーザーは県内で住宅購入を検討していたり情報収集中のユーザーですので、そのネットでリサーチを行うユーザーの大多数にリーチできていることが予想できます。

また直接の資料請求やイベント参加予約のようなコンバージョンの点でいうと、このサイトを通して月に5件程度の問い合わせやイベント予約が発生しています。

ユーザーが検索→当サイトを閲覧→クライアントwebサイトへ→コンバージョン

業界や企業によってコンバージョンの価値は異なりますが、CV1件の価値を5万円~10万円だとすると、月に25万円~50万円程度の価値を生んでいることになります。またこの数値はGoogle Analystで確認できる数値のみとなりますので、セッションが切れているものやアトリビューションを含めるとよい大きな価値に貢献していることになります。

まとめ

「ブログを書けばそれを見たユーザーからの問い合わせが増えます!」

「検索の順位を上げるためにSEO対策をしましょう!」

SEO会社の営業や適当な記事を見かけることがあると思います。SEO対策とはある検索キーワードで検索順位を上げるような小さな話ではなく、ユーザーの検索に対して自社の情報をどうリーチさせるのかというより大きな枠で考える必要があります。具体的にはどんなユーザーがどのようなキーワードで検索を行い、そのユーザーが必要としているものはなにか、どうやって自社の情報を伝えるかという総合的な試みです。

このクライアントは長期的にみて「県名 + 注文住宅」の検索をとることに価値を感じましたが、すべての企業がやるべきだというものではありません。まずは全体の戦略をつくり、そのなかでSEOが有効だと判断できた場合には中長期で取り組むのもいいのではないでしょうか。

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この記事を書いた人

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著者名: にしりゅう

Webマーケティングと生成AI分野のエキスパート。10年以上にわたり、広告を中核としたWebマーケティング戦略の立案から実行までを一貫して支援。月額予算100万円前後の中小規模プロジェクトを得意とし、50件を超える成功事例を保有。施策横断的なアプローチに定評あり。最近は趣味の格闘技とトレーニングにのめり込んでいる。

Posted by kaizuka