【事例】リスティング広告のCV数が1ヶ月で2倍になったアカウント設計

リスティング広告

リスティング広告事例

ネットでリスティング広告の運用方法について調べると機能の使い方や細かい運用テクニックは豊富にありますが、運用の根本であるアカウント設計の部分はまだ不足しているようにも感じます。

この記事ではそんなリスティング広告のアカウント設計に関して、代理店切り替えとリニューアルによって大きく成果を伸ばした事例をご紹介します。改善作業の中心となった考え方は2020年現在Googleからも推奨されている機械学習の能力を引き出すことを目的としたアカウント構造です。

リスティング広告運用の考え方や実際の作業のひとつの例として、部分的にでも役立てていただければ幸いです。

CV200%改善のポイント

今回事例として上げるのは、とある人材系サービスで目的を新規会員登録としたGoogle広告運用です。月間広告費は70万円、CPAを上げずにCV数(新規会員登録)を増やせるのであれば積極的に広告を実施したいという状況でした。FBやインスタ広告などの他媒体も検討しましたが、リスティング広告に改善できる点が多くあったため、まずはここから手を付けることにしました。

下記は直近6ヶ月のコンバージョン数とCPAの推移(Google広告管理画面キャプチャ)です。

実際の管理画面

だいたい点線の時期に前代理店から弊社に管理が移行しています。直近月と切り替え前の同期間を比較するとコンバージョン数は37件から86件と2倍以上に増加、その間のCPAは維持を実現しました。当初の課題と希望であった「広告予算はあるのに件数が獲得できない」という悩みは完全に解決できました。

またコンバージョン数は2倍に増加しましたが、増加分が指名検索キャンペーンでの獲得ではなく一般キーワードでの獲得だという点もビジネスへの影響という点では非常に重要なことです。サービス名検索ユーザーに対して広告を当てるような指名検索でのコンバージョンでよいのであれば低CPAで獲得することも比較的簡単かもしれません。しかしサービス全体のコンバージョン数増加が目的ですので、指名検索への積極的な入札や獲得は避けることにしました。

今回このアカウントがここまで伸びた大きな要因として、Googleの推奨する機械学習に適した設定をひととおり行ったということが考えられます。改善点や検討事項は無数にありますが、影響の大きなものから順番に解説します。

アカウント設計と構成・入札戦略

細かい設定方法と比べるとアカウント設計やキャンペーン構造をわかりやすく解説した記事が少ないのも事実です。また最適なアカウントやキャンペーンの構成がひとつあるのではなく、なにが適しているのかはその商品やサービスによって異なります。様々な条件を踏まえて個別に検討する必要があるのです。

参考記事:ネット広告で広告グループの細分化は時代遅れ! 機会学習に適したアカウント構成を意識する

参考記事:アカウント構成、キャンペーンや広告グループの分け方について

ただセオリーは、特別な理由がない限りは自動入札を使ってキャンペーンと広告グループをシンプルにまとめて機械学習に十分なデータを渡すことです。コンバージョンが目的なのであれば、「入札戦略はコンバージョン数の最大化」「目標コンバージョン単価」を使うことになるでしょう。

これらはGoogleが公式に何年もアナウンスし続け多くの運用会社が各種データを公開しているのですが、それにも関わらず「1広告グループ1キーワード」などの細かい手作業を強みにしている運用会社も存在しています。

今回の広告アカウントはもともと検索だけでも3つのキャンペーンがあり、そのなかの広告グループが合計で10存在するという構造でした。広告グループをここまで分ける理由は特に見当たりませんでしたので、2キャンペーンで合計3広告グループまで集約しました。ひとつの商品しか扱っていないのに予算50万円程度でここまで広告グループを分けることは悪手のケースが多いでしょう。

最初は入札するキーワードが不安定だったりクリック単価が異常に高かったるすることもあります。ただ特別なケースを除き構造や設計を間違っていなければ中長期的には効果が改善していくケースが大半です。数週間〜1ヶ月程度は辛抱して温かい目で見守るしかありません。

関連記事:【検証】コンバージョン数の最大化で本当にCV数は増えるのか?

キーワードのマッチタイプ変更

広告グループ内に完全一致、絞り込み部分一致、部分一致が混在しているのはいいのですが、インプレッションが極めて少ない(または存在しない)完全一致キーワードと絞り込み部分一致キーワードが膨大に設定されているのが気になりました。

コンバージョン数を多く獲得したいのであれば、最終的にメインになるのは部分一致キーワードになります。完全一致や絞り込み部分一致で学習させながら徐々に部分一致キーワードでの入札と獲得にシフトしていくのが王道です。

完全一致や絞り込み部分一致は狙ったキーワードのみ入札に参加するので無駄がないというメリットがありますが、設定したキーワードの外に拡張できないことと競合も入札しているのでCPCは高くなりがちだというデメリットがあります。

部分一致が部分的に一致するキーワードに入札する設定であるため、広いキーワードでクリックされて無駄な費用がかかるのでは?と考えることも自然です。しかしコンバージョンを目的とした入札戦略と自動入札であれば、部分的に一致するキーワードのなかからコンバージョンが見込めるものへ入札が行われます。

一部では「数千キーワードを手作業で設定しているから効果が出る」と公言している代理店さんもありますが、おそらく効果はないし単純に時間の無駄です。

広告カスタマイザとデータフィードを活用する

リスティング広告に限らず運用型広告ではデータを活用と自動化は抗うべきではない大きな流れです。これらは単に効率化や省力化だけが目的ではなく、広告成果を向上させるための必須事項です。リスティング広告におけるデータ活用の代表的なものとして、データフィードを使った広告カスタマイザがあります。

参考ページ:広告カスタマイザの詳細 – Google 広告 ヘルプ – Google Support

参考ページ:ビジネスデータ フィードを設定する – Google 広告 ヘルプ

広告カスタマイザを使うと、ユーザーが何を検索しているか、どのような端末を使っているか、ユーザーの場所、あるいは日付、時間帯、曜日などに合わせて、テキスト広告を調整することができます。価格やセール終了までの期間など、希望するテキストを自由に挿入できます。たとえば、「__からご用意!」という文面に、自動的にセール価格を挿入するなど、さまざまな機能があります。

Google広告:広告カスタマイザの詳細

広告カスタマイザを活用することで、下記のようなことが可能になります。

・検索したキーワードによって表示させる広告文を変える

・検索した場所によって別々の広告文を表示させる

・検索した時間や曜日によってセール情報を表示させる

今回の対象である転職や就職というジャンルでは「場所」が非常に重要になります。当然ですがユーザーは自分の住んでいる地域や勤務が可能なエリアの求人だけを知りたいのです。実際に「看護師転職 大阪」「税理士求人 福岡」のようにユーザーが使う検索語句にも地域名が含まれていることが多くあります。

ということは、広告文に「自分が住んでいる市町村名」や「検索キーワードに含む市町村名」が表示されてたらクリック率が高くなることは予想できますよね。Google広告アカウントに下記のような[広告カスタマイザデータ]を作成することで、地域によって広告文を出し分ける(「◯◯市の求人情報なら」)のようなことができます。

全国市町村名をデータフィードに設定

配信開始から1ヶ月以上経過しデータが溜まった状態で比較してみました。

広告カスタマイザを活用した広告文のクリック率は4.07%と3.79%となり、他の広告文と比較して圧倒的に高いクリック率となりました。レスポンシブ検索広告は2.03%、拡張テキスト広告はそれぞれ1%以下でした。

ただここで注意しなければならないのは「クリック率が高い=コンバージョンが獲得できる」ではないこととです。またどの広告文が表示されるかはユーザーの検索キーワードに左右されるため、単純にクリック率を比較して広告文の良し悪しを判断してはいけないことにも注意です。

別の広告グループの広告文も確認してみます。

先程と同様、広告カスタマイザを使った広告文のクリック率が3.87%と3.12%と高くなりました。異なる点としてはレスポンシブ広告のクリック率が1.63%と拡張テキスト広告と比較して明確な差にならなかったことです。

これらを参考にすると、地域データフィードと広告カスタマイザを活用した広告文は、地域を含まない拡張テキスト広告やレスポンシブ検索広告よりもクリック率は高くなることはほぼ確実そうです。

まとめ

引き継ぎアカウントのリニューアルでコンバージョン数2倍程度の改善に成功したリスティング広告の例をご紹介しました。本件でのポイントはGoogleの推奨に沿った設定を行うだけでしっかり効果が出たということです。適当に運用されているアカウントであれば、オーソドックスに機械学習を活用することでこれくらいの改善ができるというケースも少なくありません。体感としては基本的な運用ができている運用会社は半分もありませんので、成果や運用に不安があればご相談ください。


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今回のケースでは広告予算が月50〜100万円だったので本記事のような戦略をとることになりましたが、もし仮に月の広告予算が10万円だったら違う戦略になっていたかもしれません。商品やサービス、予算等の各条件によってとるべき戦略やアカウント構造は変わることになります。

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Posted by kaizuka