工務店にSEO対策が必要ない理由を誰でもわかるように解説する
工務店と消費者の接点が紙ベースからデジタルへと移行している現状は、ネット対応の進んでいる工務店であれば明らかです。従来、紙ベースのマーケティングを通じて多くの問い合わせを獲得したい場合、SUUMOのプランをアップグレードするやポスティングを増やすなどの方法が有効でした。
しかし、デジタルが主流の今、広告を展開すればよいのか、SUUMOネットのようなオンラインプラットフォームを増やせばよいのか、SNSマーケティングか、それともYouTubeかというように、選択肢が増えたことで、どこから始めるべきかの判断が難しくなっています。
ネット集客の主軸として、長い間、検索エンジン最適化(SEO)や有料広告(例: Google広告、Yahoo!プロモーション広告など)が中心でした。そのため、「集客するなら、まずはSEOが基本では?」と考える人もまだ少なくありません。
しかし、この記事の趣旨は、工務店に提案されるSEO対策の多くが実際には効果が乏しいという点を明らかにすることです。言い換えれば、多くのSEO対策に高い費用を投じる価値は存在しないのです。ただし、全てのSEO対策が無駄だというわけではありません。どのようなSEO対策が必要で、どの部分にリソースを投じるべきか、そのポイントを一緒に考察していきましょう。
SEOによって検索で上位表示するメリット
Googleや他の検索エンジンでの上位表示を目指すための取り組みを一般的にSEO対策と称します。
SEOの目的は、ユーザーの検索行為に対応して特定のキーワードでの順位を向上させるだけではありません。では、なぜ多くの企業が上位表示を目指すのでしょうか?検索結果で上位に表示されることの真の意味とは何でしょうか?
見込み顧客との接点をつくる
従来、住宅会社と消費者との主な接点は住宅展示場や雑誌、フリーペーパー、ポスティングなどでした。しかし、これらの接点は次第にオンラインへと移行してきています。インターネット上には多種多様な情報が存在しますが、Google検索はその中でも特に重要な役割を果たしています。
検索を行うユーザーは、特定の情報を求めてアクティブに行動しているのです。そのようなユーザーに対して、自社が価値ある情報を提供できる場合、上位表示を目指すことで接点を増やすことが必要です。
ブランドに貢献
上位表示により、見込み顧客との接点を増やすという直接的なメリットの他に、ブランドの認知度や信頼性を向上させる効果も期待できます。
検索結果の上位に表示されることが、良質な企業である証拠ではありませんが、多くのユーザーはそのように感じる傾向があります。例えば、特定の地域と「工務店」や「ハウスメーカー」といったキーワードで検索した際、上位に表示される企業はユーザーからの信頼を得やすいでしょう。
しかし、上位表示の効果を過大評価することは避けるべきです。多くの企業が、具体的な目的や効果を明確にせずにSEO対策を行っている現状があります。重要なのは「なぜ上位表示を目指すのか」「具体的にどのような効果を期待しているのか」を明確にすることです。それを考慮しないSEO対策は、効果を発揮することは難しいでしょう。
よくある意味のないSEO対策
多くの業界で、SEO対策業者から提供されるSEO対策の効果やコストパフォーマンスに疑問が持たれています。特に住宅会社や工務店のSEOにおいて、効果の薄い対策が行われているケースが多いと言われています。以下に、そのような対策の例を挙げてみましょう
「「◯◯市 注文住宅」で1ページ目に表示させましょう」
地元に密着した工務店は施工エリアや商圏が限られているので「○○市」などの地域キーワードを絡めていきましょうというのはわかります。しかし、毎月数万円、あるいは数十万円を投じて「◯◯市 注文住宅」や「◯◯市 工務店」での1ページ目表示を目指すことの価値はどれほどあるのでしょうか?
Googleのキーワードプランナーを使用すると、特定のキーワードの月間検索回数を調査することができます。以下は、いくつかの地域名を組み合わせたキーワードの検索回数の例です。
- つくば市 工務店:70回/月
- 静岡市 工務店 :140回/月
- 新潟市 注文住宅:50回/月
- 青森市 注文住宅:50回/月
これは1日にされる回数ではなく1ヶ月間でされる検索の回数です。
例えば「つくば市 工務店」は月間に約70回ほどしか検索がされません。「新潟市 注文住宅」は月間50回です。これらの検索結果の1ページ目に自社サイトが表示されたからといって一体どれだけのユーザー流入が獲得できるのでしょうか。
また1ページ目といっても検索1位と10位ではまったく話が変わります。仮に月間検索回数100回のキーワードで1位をとれば、そのキーワードから月間50くらいの流入は獲得できるかもしれません。一方で10位だった場合にそのキーワードから獲得するアクセスは月5くらいでしょうか。
これが実際に工務店に提供され対価として毎月何万円も何十万円も発生している「1ページ目に表示させて費用が発生する」SEOの実態です。
外部リンクで上位表示させます
特定キーワードでの上位表示を目的としたSEOは基本的におすすめしないのですが、やむを得ず利用しなければいけない事情もあるかもしれません。その場合にはどうやって上位表示をさせるのかをSEO業者に確認してください。そのなかで「被リンクやバックリンクを・・・」みたいな話が出てきたら依頼を避けたほうが賢明かもしれません。
人工的に増やされた被リンクは、効果が薄いだけでなく、検索エンジンからのペナルティのリスクも高まるというのは、業界内で広く認識されている事実です。したがって、「被リンクにより上位表示を実現します」と主張するSEO業者は、SEOの基本的な知識が不足しているか、あるいはクライアントに対して誤った情報を提供し、リスクを負わせる意図がある可能性が考えられます。そのような業者との関わりは避けることを強く推奨します。
ブログ・記事を追加すればアクセスが増加します
5年前や10年前、被リンクの増加による上位表示が一般的でしたが、現代のSEO環境ではその効果は大幅に減少しています。この変化に伴い、多くのSEO業者が「サイト内のコンテンツを増やす」というアプローチを推奨するようになりました。確かに、ユーザーの検索ニーズに合致したコンテンツを提供することで、アクセス数を増やすことは可能です。
しかし、ここでのポイントは、目的は単にアクセス数を増やすことではなく、質の高い見込み顧客との接点を確立し、具体的な問い合わせや成約に繋げることであるということです。ターゲットとしていないユーザーからのアクセスは、ビジネスの成果にはほとんど寄与しないでしょう。また、アクセス数を増やすためだけに低品質な記事を大量に公開すると、それがブランドの評価を下げる原因ともなり得ます。
工務店はSEOとどう付き合うか
これまで、効果の薄いSEO手法や避けるべきアプローチについて触れてきました。それでは、工務店や住宅会社がどのようにSEOを捉え、どのような施策を実施すべきなのかを考えてみましょう。
特定キーワードではなく検索全体を意識する
「○○市 工務店」のような狭いキーワードに焦点を当てるのは、検索ボリュームが限られているため、効果が期待できないことを既に述べました。一方、「○○県 家」のような広範なキーワードでは、目的に合わないユーザーも多く含まれるため、効果が限定的です。
工務店の検索における理想は、広いキーワードの検索結果に自社の情報が表示されることです。ここで重要なことはその際に表示されるものは自社ホームページに限らないということです。検索結果にはポータルサイト、インタビュー、Googleマップ、YouTubeも表示されます。
ユーザーが検索を行うのは情報を求めるためであり、その全ての情報を自社ホームページで提供する必要はありません。メディアへの取材やインタビュー、記事広告も有効な手段として考えられます。また、ポータルサイトへの出稿の意義や効果も再考してもよいでしょう。
よいサイトは自然に上位表示される
特定キーワードでの上位表示の可否や難易度はサイト設計の時点でほとんどが決まっています。
設計が適切に行われたサイトは、自然と検索順位が向上します。そのため、後から大きな費用をかけてSEO対策を施す必要はほとんどありません。基本的な要素として、タイトルタグ、hタグ、ディスクリプションが適切に設定されていれば、それ以上の詳細な作業は必要とされません。
上位表示できないのは、戦略やサイトの方向性が間違っているかGoogleやユーザーから見て上位表示させる価値がないと判断されているかのどちらかです。「このキーワードで上位表示したい」と思いつきで施策を行うのではなく、SEOはサイト全体の戦略と連動して考えなければなりません。
検索(SEO)を捨てても大丈夫
「費用やその他コストをかけてまでSEOの対策はしない」という判断でもまったく問題ありません。
認知を増やす方法は多岐にわたります。インスタグラム、YouTube、各種メディアの紹介、ポータルサイトなど、自社の強みやリソースに合わせて最適な手段を選択することが重要です。
全ての手段に均等にリソースを割くのではなく、得意分野に集中するのが賢明な戦略と言えます。もし、大手ハウスメーカーのように豊富な人材や資金がある場合、広告、SNS活用、ブログ執筆、ポスティング、展示場出展など、多方面での取り組みも考慮に入れることができるでしょう。
もちろん自社名やブランド名を検索した際の検索結果には気をつけるべきですが、無理に新規の流入を目的とした施策はしなくても大丈夫です。中途半端な取り組みは、効果の薄いコンテンツを生むだけとなりかねません。時間と労力を投資するのであれば、効果が期待できる施策を優先的に選ぶべきです。
工務店のSEOについてまとめ
10年、20年前のインターネット環境は、現在のようなSNSやスマートフォンの存在はありませんでした。また、ユーザーの好みに合わせたパーソナライズやレコメンド機能もなく、単純にブラウザを通じてウェブサイトを閲覧するだけの時代でした。そのため、ネットを利用した集客と言えば、「検索エンジンでの上位表示を目指し、多くのアクセスを獲得する」という考え方が主流でした。
しかし、2023年の現在、検索の環境は大きく変わりました。検索エンジンの競争は一層激化し、さらにはSNSなどの新しい検索手段も登場しています。現在では、大企業から中小企業、零細企業まで、全ての組織がウェブサイトやメディアを持ち、同じフィールドで競争しています。このような状況下で、「ユーザーが検索するキーワードで上位表示を目指す」という、大企業と同じ戦略を取るのは本当に適切なのでしょうか。
特に特定キーワードでの上位表示をするだけのSEOに何十万円も支払っている場合にはすぐにご相談いただいたほうがよさそうです。工務店だけでも全国十数社のマーケティング支援を行っておりますので、webマーケティングやSEOに関する疑問点などがあればフォームより送信いただければ回答させていただきます。
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KAIZUKAではさまざまな業種のデジタルマーケティング支援をしておりますが、なかでも小〜中規模工務店のWebマーケティングに関しては実績が豊富です。 広告費予算としては月額10〜30万円程度の規模をメインに、Webサイト(ホームページ)・広告・コンテンツなど工務店集客に関するデジタル・Web周りを総合的にサポートします。
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