HPへ問い合わせをする際に絶対にしてはいけないことベスト5
なにかのサービス導入を検討する際に企業HPから問い合わせや資料請求をすることがあります。問い合わせる内容はサービス詳細の確認や料金を詳しく知りたいなど様々だと思います。一方よいサービスや人気の会社には毎日数件~数十件の問い合わせが発生しています。これを担当やインサイドセールスで対応しますがすべてにじっくりと時間をかけることはできないので、予想受注率や単価、テキストの問い合わせ内容から対応の優先度を判断することになります。
長年クライアントワークを行い問い合わせの内容を確認してきた経験から、避けたほうがよい問い合わせ方法例を記載します。問い合わせをする(発注する)側としてはこういった点を注意して避けることによって、会社が問い合わせ内容に真剣に対応してくれますし、問い合わせを受ける(受注する)側としてはこういった問い合わせについては質が低いケースが多いので優先度を下げたりスルーして問題がないかと思います。
『とりあえず資料を送ってください』
資料請求フォームがある企業やサービスであればそこから資料請求をすればいいと思います。最近では特にSaaSのサービスなどで「役立つ資料はこちら」のようなホワイトペーパーを準備していることが多くなっています。
会社概要が欲しい、事例が欲しい、料金表が欲しいなど意図がある資料の問い合わせなら理解できるのですが、「とりあえず資料を送ってください」というような上司に情報収集するように指示されて仕事している感を出したいだけの作業に付き合っている時間はまともな会社にはありません。
『コンペをしたいのですが』
デザインやサイト制作、コンサルティングといった業界では、コンペであればお断りするという企業が増加しています。理由としてはコンペを行わなくても案件が十分にあるためです。コンペとは複数社からデザイン案や提案内容と見積もりを集め比較するものですので、単純に確率だけで考えれば3社コンペであれば66%の確率で失注、5社コンペであれば80%の確率で失注することになります。
デザイン案や提案内容を作成するにはそれ相応のコストが発生します。デザイン案作成であれば事業とコンセプトの理解からデザインのラフを作るまで少なくとも数十万円のコストが必要になります。デザイン業務の原価は材料ではなく人件費です。例えばこの作業に時給5,000円の人たちが3人集まって10時間かけると15万円のコストが発生します。コストは費用に乗せなければなりません。実際にはこれだけのコストが発生するにも関わらず、コンペであればその分の費用を回収することはできないことがあります。ではどうするかというと、受注に対して数十万円のコストを費用に上乗せするか、その他のクライアントからの利益で吸収しなければならなくなります。
紹介や会社指名での依頼であればコンペ用の資料作成といった無駄なコストや受注確率が低い商談に割く時間がなくなるので、大量の契約を必要としていない企業ではコンペを受けないという選択肢が広まっています。ただ最悪なのは後からコンペであることを伝えることなので、社内事情によってコンペをしなければならない状況なのであれば最初に伝えておいたほうがいいでしょう。
『詳細はお伝えできませんが~』
「詳細はお伝えできないのですが見積もりをください」といった問い合わせ内容もたまに存在します。
一律の価格表があり詳細を伝える必要がない場合には、この問い合わせ内容で見積もりが作成できると思います。しかしそれがコンサルティングやマーケティングといった一律の価格が存在せずサービス内容によって価格が決まるものであれば、詳細を伝えないで見積もりを作成することは不可能です。
『まずはご来社いただけますでしょうか』
これもまともな会社に嫌われる問い合わせ内容です。そもそも「なぜサービス提供側が訪問すること前提と考えているのか?」という疑問もありますが、訪問するにしても意味のない訪問や効果の薄い訪問は避けたいのが人気で忙しい会社です。社内に暇な営業マンがたくさんいる会社であれば「とりあえず打ち合わせしましょう」のようなことをやるのかもしれませんが、まともな会社はまずやりません。状況をできるだけ詳細に伝え、来社や訪問の必要があると感じれば自然に「訪問しましょうか?」と言ってくるはずです。
『予算はありませんが(未定ですが)』
企業は営利活動であってボランティアではないので、「予算はありませんが」と言われたらなにもすることがありません。「予算はわかりません」という問い合わせもたまにありますが、それでは提案する側もなにもできません。
- 予算があるとしたら数十万円なのか数百万円なのか数千万円なのか?
- 予算が決まるのはいつで、その判断の理由はなにか?
予算がある/ないというのは人や企業によってイメージしているものが異なりますので、ある/ないや多い/少ないではなく、金額で話をする必要があります。上記のような話をできれば、「現段階で正確な予算はわからないが、これくらいの確率でこれくらいの金額だろう」という意味のある話ができます。
お客様は神様ではない
「お客様は神様」が「客はなにを言ってもよいしそれに答えるべき」のように間違って認識され、未だに「お金を払う方が立場的に偉い」と考えている人が多く存在するように感じます。またサービスを提供する側も、付加価値の低い差別化されてないものを提供していると、このような無理難題や価格を下げる圧力に答えなければならなくなります。
もしいい(人気の)サービスを受けようと考えるのであれば、金を払うほうが偉いというような勘違いを早く捨てて、受発注者が対等なパートナーとして仕事を行うという思考にならないと危険です。気がついたら質の低いサービスしか受けられなくなっていたという状況にならないように発注のしかたや問い合わせのしかたも考え直してはいかがでしょうか。